ロシアはシリアの内戦に威勢よく介入したが、失敗に終わる可能性がないとはいえない。一方、米国は介入しないことで失敗しかねない。より正確に言えば、米国はシリア問題について、首尾一貫した、目標の明確な政策を、遂行しないばかりか設計すらしていない。
ロシアのシリア政策は目標達成に向けた本格的な戦略も反映している。プーチン大統領は、最近モスクワでシリアのアサド大統領と会談し、この戦略を前進させた。
「オバマは弱腰」との声は見当違い
残念ながらオバマ米大統領の政策には、こうした首尾一貫性がない。ただ、オバマ政権の外交に関する政策選択は弱腰と優柔不断の反映だ、という批判の多くは見当違いだ。世界の諸問題についてオバマに責任をなすりつけようとする動きすら見られる。大統領選挙に向けた選挙運動が進む中で、この傾向は強まっている。
オバマは、シリアへの地上軍派遣は、過激派組織「イスラム国」に対する米国主導の空爆などと比べると、米国の国益に資するところが少ないと結論したのだ。
しかし、介入しない選択をすることと、首尾一貫した戦略をまったく欠くこととは異なる。オバマが非難されるべきは、不介入を選択した理由をはっきりと説明せず、危機の緩和に向けて米国が採りうる代替手段を明確に打ち出していない点だ。
実施できなかったのは、主に、政府全体としてのコンセンサスがないだけでなく、政権内部に限っても合意が欠如しているからではある。しかし究極的には、この状況はオバマ自身に責任がある。
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