イスラム国が是正したい「不自然な国境線」

世界地図から見えてくるアラブの怨嗟

世界地図を見てみると、イスラム国をひも解く手がかりが見えてきます。(写真はイスラム国がほぼ制圧した世界遺産の都市パルミラ。写真:The New York Times/アフロ)

国境を越えるイスラム国の脅威

5月17日、イラクの要衝都市ラマディがIS (イスラム国)に占拠されてしまったというニュースが世界中を驚かせた。

米軍を始めとするアラブ諸国の空爆が開始された当初は、ISの弱体化が伝えられ、5月16日には米軍の特殊部隊がシリアの地上作戦でIS のアブ・サヤフ幹部を殺害したことを明らかにした。この幹部は組織の資金源である石油・ガス取引などを指揮していたという。

作戦はオバマ大統領が直接指示し、特殊部隊には死傷者は出ていないと各国のメディアが報じていた。最近の各メディアの全般的な報道傾向は、IS が全面的に後退しているという印象を植え付ける方向に傾いていたと言える。

しかし、実態はそうではなかったことが、今回のIS によるラマディ占拠で明らかとなったのである。

ISは日本人2人を無惨に殺害したことで、日本でも広く知られることとなった。さらに彼らが特異なのは、世界各国から若者がIS の戦闘員として参加していることだ。日本人の大学生がISへの渡航直前に足止めされるなど、日本を含めて世界各国にISを支持する層が存在している。

ISがこれまでのテロ集団と最も違う点は、曲がりなりにも彼らが「面」としての支配地域を持っていることであろう。例えばアルカイダにしてもアフガニスタンに寄生してはいるが、独自の支配地域を持つということはなかったのである。

なぜ彼らは国家を標榜し、勢力を維持拡大しているのか。その本質を紐解く手がかりは、現在の中東地図にあると言えるだろう。

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