イスラム国が是正したい「不自然な国境線」 世界地図から見えてくるアラブの怨嗟

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彼らにとっては、欧米が標榜する自由と機会均等は、理想主義的なお題目に過ぎず、自分自身では乗り越えられない閉鎖社会に取り残されていると認識されていたりする。

人間を労働力と見なす資本主義社会では、その労働力に付加価値を付け、高く売るために教育や訓練を受ける。それが良質であればあるほど高く売れる。この仕組みの中で訓練や教育を受けられない者は、いつまでたっても負の連鎖からは抜けられない。

つまり、チャンスは誰にでも平等に与えられているが、産業革命以来300年の時間を経て、資本主義が硬直化してしまい、チャンスのきっかけさえ掴めない人々を大量に生んでいるのが21世紀の現実である。

半世紀ほど前なら、その対立軸として、格差を無くして平等な社会の理念を説く社会主義・共産主義があった。そして、それを基本理念とした国家が実際に存在していた。

従って、その頃の若者にとって、少なくとも西欧的な秩序である資本主義を破壊する「革命」という言葉がリアリティを持っていた。

だが、現在のような時代閉塞の中で、行き場を失った若者にとっては、イスラム教の説く世界観は魅力的に映る。イスラムの聖典コーランの教えでは、徹底した平等を唱えているからである。

さらには、閉鎖社会にいる若者にとって、ISは中東の国境を含めて、資本主義および西欧的な秩序破壊を目指す極めて具体的な「国家」として、若者たちの目に映っている。だからこそ求心力を持っていると言えるだろう。

ISについては、最近刊行した『「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質』(SB新書)でも、詳しくふれている。あわせてご一読いただけると、よりISをめぐる情勢についての理解が深まるはずだ。

松本 利秋 ジャーナリスト

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まつもと としあき

1947年高知県安芸郡生まれ。1971年明治大学政治経済学部政治学科卒業。国士舘大学大学院政治学研究科修士課程修了、政治学修士、国士舘大学政経学部政治学科講師。

ジャーナリストとしてアメリカ、アフガニスタン、パキスタン、エジプト、カンボジア、ラオス、北方領土などの紛争地帯を取材。TV、新聞、雑誌のコメンテイター、各種企業、省庁などで講演。著書に『戦争民営化』(祥伝社)、『国際テロファイル』(かや書房)、『「極東危機」の最前線』(廣済堂出版)、『軍事同盟・日米安保条約』(クレスト社)、『熱風アジア戦機の最前線』(司書房)『「逆さ地図」で読み解く世界情勢の本質』(SB新書)など多数。


 

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