もはや「米中サイバー戦争」は避けられない? 米国防総省現役のサイバー専門家が警告

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サイバー攻撃対策を担うアメリカ国土安全保障省の職員。「サイバー戦争」はすでに始まっているといっても過言ではない(写真:ロイター/アフロ)
コンピュータやネットワークのデータ領域として生まれた新世界、それが「サイバー空間」だ。IT技術の普及で急速に拡大したこの空間には、時空の壁も国境 も存在しない。今この空間で何が起こっているのか。米国防総省の現役サイバーセキュリティ・スペシャリストであるカイゾン・コーテ氏が3回に渡ってサイバー空間の危険性を警告する。第2回はサイバー戦争について。
第1回 日本人は「スマホの危険性」をわかっていない

すでにアメリカは「サイバー戦争」に備えている

サイバー空間が新時代の「戦場」になることは、あらゆるところで見え隠れしている。

Kaizon Cote (カイゾン・コーテ):現役米国国防総省キャリア、サイバーセキュリティ・スペシャリスト。現 在は国防総省、軍に籍を置きつつ、民間企業「ディフェンス・ディベロップメント・コンセプト社」をベースに、米、日本、カナダ等でセミナー、コンサルティ ングなども行う。空軍での階級は少佐。

すでにアメリカ国防総省では、来たるべき戦争に備えて2010年に専門部隊「サイバーコマンド」を発足している。

また、2012年にはレオン・パネッタ国防総省長官(当時)がサイバー戦争を見越し、総予算(同省320万人分の人件費も含む)の5%にあたる310億ドル(約3.7兆円)を確保してまでスペシャリストの育成強化に力を入れたことは、大きな話題となった。

では、いったいサイバー戦争とは、どんなものなのか。目には見えない空間ゆえ、戦争の危険性といってもイメージが湧かないかもしれない。まずは基本的な話から押さえよう。

サイバー空間は拡大し続けているが、そもそもこの空間はどのくらいなのか。数字で表すと、少し実感が湧くだろう。現在サイバー空間には、10億を上回るウェブサイトが存在し、約29億人のユーザーが150億台超のコンピュータをはじめとする端末を使って、アクセスしている。7つの大陸をつなぐ海中ケーブルの長さは総距離にすると約90万キロメートル。これは地球の赤道距離に換算すると、なんと約217周にも及ぶ。

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