金融庁「サイバー攻撃対策」の新体制とは? サイバーセキュリティ対策調整室が発足

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日本の大手金融機関が集積する丸の内界隈。サイバー攻撃対策が求められている(撮影:今井康一)

金融庁は、金融分野におけるサイバーセキュリティの強化に乗り出す。近く、専門セクションの「サイバーセキュリティ対策調整室」を発足させ、金融分野の検査・監督の際に横断的にモニタリングして、セキュリティレベルの向上を目指す。

サイバーセキュリティ対策調整室には、専門官3人のほかに、外部の専門家も加わる。その態勢の下で有識者等からの情報収集・分析やセキュリティ強化に関する施策の企画・検討などを行なう。

具体的には、銀行、証券会社、保険会社などの金融機関のほか、証券取引所などの金融インフラのサイバーセキュリティの実態を把握し、その向上を促進していくことになる。

米国金融機関から8000万件の顧客情報が漏洩

近年、金融分野に対するサイバー攻撃は世界的に激化の一途にある。昨年8月には米国の有力金融機関であるJPモルガン・チェースが攻撃を受け、約8000万件の顧客情報漏えいを生じさせた。また、欧州では2013年ごろから銀行のコンピュータが「マルウェア」に感染し、システムが乗っ取られて銀行員による内部のシステム操作の内容まで犯罪者に把握される事態も起きている。

日本では現状、そのような大掛かりな被害が金融分野で発生したわけではないものの、その潜在的なリスクは存在している。実際、インターネットバンキングにおける不正送金など事例は増加傾向にある。

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