北朝鮮のソニー攻撃をどう見るべきか、北朝鮮問題の専門家に話を聞いた。
今回話を聞いたブルース・クリンガー(Bruce Klingner)氏は、ヘリテージ財団アジア研究センターの北東アジア担当上級研究員。2007年、同財団に加わり、米国政府内で地域問題のコメンテーター・アナリストとして有名になった。
ヘリテージ財団に加わる前、中央情報局 (CIA) と米国国防情報局に20年間所属して、北朝鮮、韓国および日本を分析。1996~2001年の間、CIAの朝鮮担当課長補佐を務め、政治、軍事、経済および指導者の問題に関する分析を担当した。1993~1994年の間に、北朝鮮の核危機が持ち上がったときには軍事情報の分析を行った。
北朝鮮は、なぜソニーを攻撃したのか
――北朝鮮はなぜソニーのコンピュータにサイバー攻撃を行ったのですか。
ソニーが映画『ザ・インタビュー』を公開することを阻止するためです。北朝鮮政府は、同作を国の指導者、金正恩を激しく侮辱するものだと考えています。北朝鮮はこれまでも、政権を侮辱すると思えるものすべてに対して強い反応を示してきました。
対象が指導者の場合は特にそうです。北朝鮮は2012年、韓国のいくつかの報道機関が金正恩を侮辱する記事を発表したと考えて、脅しをかけました。自分らの意思を示すために、いくつかの報道機関の本社の地理的座標を公開することさえしました。北朝鮮政府は2013年にも韓国を脅迫しました。その際は、ソウル市街で行われた反北朝鮮デモを防げなかったことを理由として、韓国の大統領公邸を爆破すると脅迫することもしました。今回も、ソニーが映画を公開しないよう脅迫しているのす。
――北朝鮮は、一般市民が映画を観ることを政府が心配しなければならないほど、インターネットやDVD再生の基盤が整っているとも思えません。
北朝鮮は国外の影響が入り込んでくることを非常に恐れています。思想的な汚染の可能性があると考えているのです。金正恩の父、金正日は蚊が入れないほど目の細かい網を張る話を何度かしています。あれは、国外の映画や情報などについて言ったのです。北朝鮮は、韓国との経済的なかかわりにおいてさえ、資本主義的な活動を行うために、壁で覆われたエリアを作って、国内にその悪影響が及ばないようにしています。北朝鮮は国外から入ってくるあらゆるメディアを恐れています。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら