高等教育の投資回収率は平均よりも10〜15%多い。つまり、大学を卒業すれば、生涯賃金は平均で数十万ドル増える。しかし不幸なことに、低収入や低学歴な家庭が、どの大学や専攻を選べば賢く投資を回収できるかを知るのは、非常に難しい。
そこで米オバマ政権は「大学スコアカード」を導入して情報格差是正に取り組んでいる。これは検索がしやすい無料のデータベースで、国内の公立と私立の中等後教育機関の実績やコストに関する公平な情報を得られる。提供するデータは奨学金制度や学位修了率、卒業後の収入など5種類だ。
すでに報道関係者が多数の大学スコアカードをむさぼるように調べ上げ、格付けや推奨を行っている。新しいビジネスのアイデアがこれに続くのは間違いない。
「割に合わない大学」が2割超
大学スコアカードは透明性を高める大きな一歩だ。学生とその家族がより良い選択ができるだけでなく、教育者と政策担当者との意見交換も促進されるだろう。さらに、実績の低い教育機関には改善圧力が加わりそうだ。
ブルッキングス研究所によれば、4年制大学を卒業すると生涯賃金は平均で見れば57万ドル増えるが、調査対象853教育機関の5分の1では逆にマイナスになる。このように、支払った学費を生涯賃金の増加分で回収できない大学の割合は、ペンシルベニア大学の推計によると4分の1に達する。
学費の高騰は家計に打撃となっている。奨学金の借り入れ総額は2010年から現在までに4倍増となり、計1兆ドルを超えている。さらに悪いことに、学費が高額な大学、特に利益を得る必要がある私立大学は卒業率も低い。米財務省とブルッキングス研の調査では、2011年に大学を退学して債務不履行に陥った者の70%は、「伝統のない」教育機関の出身だった。