別府の「超グローバル大学」は何がスゴイのか 留学生が約80カ国から3000人も集まる秘密
別府の市街地から車で走ること30分あまり。別府湾を一望できる山の頂に、日本屈指の“超グローバル大学”がある。開学15年目を迎える、立命館アジア太平洋大学(APU)だ。
キャンパスを歩けば、さまざまな国の学生とすれ違う。それもそのはず、学生の半数を留学生が占めており、約80カ国から3000人規模が集まる国際色豊かな大学なのだ。9割の授業が日英二言語で行われており、教員も半数が外国籍となっている。
地域に根付く、大学版の「地方創生」
APUの開学から15年が過ぎ、別府市は変わった。2010年に大分県は、「大学誘致に伴う波及効果の検証」というレポートを作成している。その中身によると、教職員の人件費や学生、来学者の支出など諸々で経済効果は年間211億円。別府市の人口は1980年の13.6万人をピークに減少が続いていたが、2000年以降は増加に転じて12.5万人の水準を維持している。大分県民の7割超が「APUができてよかった」と肯定的に評価しているのだ。
「大分県は大学版の地方創生をやり遂げた」(APUの是永駿学長)。総事業費300億円のうち、大分県が150億円、別府市が42億円を拠出。大学用地の無償譲渡も行われた。大学誘致で地域振興を狙う公私協力という珍しいプロジェクトだったが、今やすっかり地域に根付いている。
毎年1万5000人規模の小中学生が校外学習などでキャンパスを訪れ、留学生たちにインタビューする風景は日常茶飯事。県内すべての自治体と交流協定を結び、留学生が小中高の学校を訪問して文化交流や英語教室を開催している。ある日本人学生は「アルバイト先のショッピングセンターには留学生の仲間もいるが、日本人よりまじめだからと採用される確率が高い」と笑う。英語の家庭教師をする留学生も多いという。
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