別府の「超グローバル大学」は何がスゴイのか 留学生が約80カ国から3000人も集まる秘密

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留学生は学生寮に最低1年間の入居が義務づけられている。シェアタイプの2人部屋は、日本人学生と留学生がペアを組む

日英二語教育のため、大半の留学生たちは日本語がわからぬまま入学する。キャンパスに併設された学生寮「APハウス」で1年間を過ごすことが義務づけられているが、APハウスはダイバーシティそのものだ。学生たちの民族や宗教、文化はバラバラで、寮生の3分の1を占める日本人学生とともに日本の生活を学ぶことになっている。留学生にとっては買い物やゴミ捨て、入浴など、日本での新生活すべてが初めてだらけ。

APハウスでの生活を経て、2年生になると市街地でアパートを借りて市民生活に溶け込んでいく。日本人学生にとっても「生活習慣の違いを受け入れながら生活することで、異文化適応能力やリーダーシップなどを学べるため教育効果が高い」(太田猛事務局次長)。

留学生の多くが日本企業へ就職

卒業後の進路も、実に多彩。約400企業がAPUを毎年訪問するが、特に目立つのはメーカーをはじめとする製造業だ。ここ数年で金融や電力会社といったドメスティックな業界からの採用も増えているという。

当初は海外赴任要員を想定した採用が多かったが、最近は人事部や企画部など海外部門に配属されないケースも出てきている。就職を希望する留学生の就職率は90%という高さで、大半を日本企業が占める。是永学長自ら1年に30社を訪問し、「奨学金のお礼を兼ねながら近況を伝えると同時に、どんな人材育成をしてほしいか意見をもらっている」という。

2010年から学長を務める是永駿氏

まさに大学ベンチャーとして開学したAPUだが、2014年度には文科省の「スーパーグローバル大学創成支援」に採択された。国内37大学が選定された中に含まれ、名実ともに “お墨付き”を得た。是永学長は、「世界の高等教育は自由市場で、能力のある学生はどの国の大学にも行ける。世界中で競争するためには、世界認証を取得して知名度を上げることが目標」と言う。

2008年からはビジネスユニットに関する国際認証AACSBの取得を目指しており、すでにファイナルステージに入っているという。日本では慶應義塾大学と名古屋商科大学が日本語で取得済みだが、APUは英語での取得を進めている。国内の大学機関との競争を飛び越え、すでに世界へと目線を移している。

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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