「理」の残留派が「情」の離脱派に負けた必然

離脱派は巧妙な人心掌握術を駆使していた

前ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏(左)は、離脱派の型破りなスポークスマンだった。右はデイヴィッド・キャメロン首相(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)

EU離脱という衝撃的な結末を迎えたイギリスの国民投票。「離脱派」「残留派」の生死を分けたポイントは何だったのか。

両派のコミュニケーション戦略の巧拙を分析してみたところ、離脱派が、きわめて強力で巧妙な人心掌握術を駆使していたことが分かった。まさに、「コミュ力」こそが、天下分け目の戦いの勝敗のカギを握っていたのだ。

「あんた、どこから来たのかい。日本か。いいねえ。俺の彼女は日本人だったんだよ。でも日本に帰ってしまってね~。まあ、若い子だったしねえ」

ロンドンの気さくなタクシー運転手は話が止まらない。50代ぐらいだろうか。話をイギリスのEU離脱に振ると、急に居住まいを正し、こう続けた。

タクシー運転手が語った移民への不満

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「絶対、離脱すべきだ。いいかい、今、お客さんが通っているこの辺りは金持ちしか住んでない、いわば、うわべだけのイギリスだよ。俺の住んでる郊外はね。荒れ果てて、ひどいもんさ。毎朝、俺が仕事のために家を出るとね、そのすぐ先の店で、ルーマニア人が集団でコーヒーを飲んでるんだよ。あいつらは仕事もしないで、一日中、そうやって何もしないで過ごす。それで、政府からお金をもらえるんだ」

「移民はどんどん増えて、学校だって、これまで、一クラス20人ぐらいだったのに、今や35人だ。イギリス人の子供がなかなか学校に入れないんだよ。いいかい、俺は人種差別主義者じゃない。移民が来て、まっとうに仕事してくれて、この国に貢献してくれりゃ、文句は言わないよ。そうじゃないんだ。あいつらはこの国を食いつぶすんだ」

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非正規労働者が年末年始の待遇や病気休暇などについて正社員との格差是正を訴え、最高裁は格差は不合理で違法とする判決を出しました。一方で賞与や退職金についての格差是正はほぼ全面的に退ける判決も。非正規労働者の待遇は改善するのでしょうか。

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