ムーギー:あなたはいま非常にいいことを言った。必ずや私の親愛なる東洋経済の読者の皆様に伝えよう。
せっかくのスキー場からの帰りのドライブ中に、しかも天気もよくすこぶるご機嫌な音楽が流れているのに、センシティブな質問第2弾で申し訳ないが、イスラエルがパレスチナに侵攻してきたとき、レバノンのムスリムはパレスチナ人を受け入れることを選び、クリスチャンがそれに反対したため内戦が起こったと聞いたが、これは本当か。あなたは隣人のパレスチナ人が困っているのに、彼らへの支援を反対するグループにいたのか。
シリル:ジョーがそう言ったのは知っているが事実は少し違う。
まず、イスラエルがパレスチナに侵攻してパレスチナ難民が押し寄せてきたのは本当だ。しかし誰も困っている人を国から追い出したいなどとは思わない。ただ彼らがレバノンを拠点にイスラエルと戦争をした。またレバノン国内のクリスチャンを誘拐したりしたので、国内のクリスチャンが怒った。他国と武力で戦うのはクリスチャンの教義に反するので、(クリスチャンはパレスチナ難民の受け入れに)反対したのだ。
ムーギー:それは驚きのコメントだ。過去の戦争の多くはクリスチャンによって引き起こされている。
シリル:私はレバノンのクリスチャンのことを言っている。私たちは武力での戦争を望まないし、他国との戦争に加担することは教義に反している。
しかし私はこの話を皆さんに伝えたい。実は、私の母は20才の頃、車を運転していたときにパレスチナ人から誘拐されそうになった。しかしそのとき、危険を顧みずに車に飛び込んできて救ってくれたのはムスリム人男性で、母はその人の名前を30年近く経った今でも覚えている。同じことはどの宗教にも言えて、クリスチャンだろうがムスリムだろうが、いい人もいれば悪い人もいる。私はクリスチャンだが親友はムスリムだ。
どこの国にも戦争することばかり考えている、国粋的でナチスみたいな極右の愚か者がいる。しかしナチスドイツ下でも戦争に反対していたドイツ人もいた。正しい人が少数派であることはしばしばあるが、好戦的な愚か者に扇動されないことが大切だ。
私たちは長年の内戦を経て、違いを受け入れて尊敬しあう大切さを学んだ。また実際に、それしか生きる道がないことも学んだ。
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