なぜ日本では本物のエリートが育たないか?

著者インタビュー・福原正大氏に聞く

日本では優秀なのに、世界では評価されない日本人。それは、世界の「評価基準」を知らないためではないか。このほど「なぜ、日本では本物のエリートが育たないのか?」(ダイヤモンド社)を著した福原正大氏に聞いた。
(聞き手:福田 恵介記者)

 

――子どものころから、エリート教育を受けてこられたのでしょうか。

まったくそうではない。日本で生まれ育ち、日本の大学を出た。新卒で入社した日本の金融機関に在職中、海外のビジネススクールなどで勉強する機会を得て、「これでは日本人が受けてきた教育や思考方法では太刀打ちできない」と気づいた。

その後、転職して外資系の金融機関でマネージングダイレクター(役員待遇)として経営陣に加わった。この金融機関の売上高全体で日本が占める割合は15%。だが、同じマネージングダイレクターで日本人は私一人。売上高から見れば、もっといてもよいはずと考えた。

これは他の外資系企業でもそうだ。国内では優秀だとされている日本人が、海外ではまったく通用しないという現実。それを強く感じた。

――通用しない理由は何でしょうか。

日本人が通用しない理由を、ビジネスを通して世界のエリートたちと接した経験から引き出した。それは、以下の3つ。(1)正解にこだわり、その前提を疑わないこと。(2)問題を解くための理論や枠組み(フレームワーク)を知らないこと。(3)多様性の中で他者と議論をし、意見を交換しながら、新しい価値を生み出す対話力を身につけていないこと。

問題にぶつかったら、その答えを導くための課題設定能力が重要だ。そのためには、考え方の基礎となる論理や枠組み、それらを構築してきた哲学や倫理観を知っておく必要があるが、それが日本の教育の現場ではない。

さらには、多様性、すなわちいろんな人たちがいる中で自分を正しく主張し、他者とコラボレーションするための議論や対話に使えるレベルの語学力があるか、という観点から判断していくことがない。

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