”課ちょう”や”部ちょう”を捕まえるアプリを作る
中野さんの仕事の中身は、一言で言うなら事業のタネを作ることだ。
電通の事業領域である、企業と消費者を結ぶコミュニケーションという枠内で、商品やサービスをゼロから生み出す。「電通の次世代の武器を作る」のがミッションだ。
2008年、インターネット広告会社サイバーエージェントのプランナーから転身して以来、すでに2つのヒット作を生み出してきた。
ひとつは、「iButterfly」というiPhoneのアプリだ。アプリを入れた後、iPhoneのカメラ画面を機動させ、iPhoneを虫とり網のように軽く振ると、その場所、場所で、様々な「蝶(ちょう)」が捕獲できる。
蝶の種類は500種以上。「部長」ならぬ「部ちょう」を捕らえればありがたいお説教が、「課ちょう」をキャッチすれば、寒いオヤジギャグが聞けるという仕掛けで、ユーザーの遊び心をかき立てる。
もちろん、クーポンやおみくじを持ってくる「ちょう」がいるなど、ユーザーが得する機能も存在する。サービスにクーポンの要素を加えたことで、クーポンを提供する会社から課金するビジネス性も備えた。
現在、日本でのサービスは閉じたが、タイやシンガポール、インドネシアなどアジア地域で運営され、すでに収益も出ている。イギリスの国際的なデザイン・広告賞「D&AD」では、mobile marketing部門で金賞にあたるYellow pencilsを受賞した。
2つ目は、頭にかぶるとユーザーの脳波をキャッチして、気持ちを伝える、猫の耳型のヘッドセット「necomimi」だ(写真)。
脳が、集中したときに付ければ、猫の耳はピンと立ち、反対にリラックスしたときに付ければ、猫の耳が横たわる。この素朴な面白さと可愛さが受けて、最近ではこれを身に付けた飲食店の店員やイベント会場に訪れる女性の姿を見かけることもある。
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