縁もゆかりもない場所に移り住んだとき、どうやって友達を作ればいいのだろう。テニスなどの外向きな趣味があれば、地域のスクールに通い始めて同好の士を見つけられるかもしれない。しかし、僕のように「趣味は会食と映画鑑賞」だったりすると難しい。週末ごとに東京に帰るわけにもいかないし……。
昨年夏に結婚相手の地元である愛知県の三河地方に引っ越した僕は、「妻の友達と遊ぶ」という方法を使っている。信頼関係を築きやすいし、ゼロから探すよりは気の合う人に出会う確率が高いと思う。高校の同窓会にも同伴させてもらったが、不思議なほど疎外感を覚えなかった。情報が筒抜けになるリスクはあるけれど、「友達の友達はみな友達」戦略はアウェイで人間関係を構築するときには有効だと実感している。
糟谷三希さん(35)は妻の幼なじみの一人。西尾市で予約制の接骨院を開いている、やたらにエネルギッシュな女性だ。勉強会や遊びで出掛けていた神戸や東京から夜通し運転して愛知に帰って来て、仮眠を取ってからジェットスキーやバスケットボールを楽しみ、夜は英会話学校の飲み会に参加し、少しだけ寝て翌朝から仕事、みたいな生活を送っている。
接骨院は繁盛している。一人で1日に30人以上の患者を治療してもキャンセル待ちになることが多いという。研究熱心で気さくな人柄が、広い世代層を引き寄せているようだ。インタビューという名目で診察時間後に時間を作ってもらい、治療してもらいながら話を聞くことにした。
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