――エルサルバドルでは、どうやって治安が改善したのですか?
セラヤンディア大使:そのためには、少し前にさかのぼって話をする必要があります。
中南米は貧困と教育の問題から、若者が犯罪にかかわることが多くあり、困っていました。エルサルバドルの話をすれば、1980年から1992年まで内戦があり、その中でよりよい生活を求めて多くのエルサルバドル市民がアメリカへ移民しました。しかし、一般的にはVISAを取ることが難しく、多くの人がVISAを取得せずアメリカに住むようになりました。
それで成功した人もいますが、残念なことに貧困が場所を変えただけで仕事が見つからず、アメリカの犯罪グループに入ってしまった若者もいます。
犯罪を覚えてしまった人が違法移民として強制送還させられ、エルサルバドルに戻り、今度は国内で犯罪に手を染め始めたのです。それが主な原因となり90年代後半から治安が悪化しました。
しかし、4年前にマウリシオ・フネス大統領が政権を取ってから、歴史的な社会投資が始まったのです。たとえば、貧困母子家庭をサポートするためのプロジェクトや、公立小学校の児童への制服や教材の無料配布など、大統領のリーダーシップのおかげで「アンチギャング法」も作られました。
そしてさらには、2人の民間人を刑務所に派遣し、刑務所内にいるギャングのリーダー達を和解させ、2012年3月9日に抗争終結宣言が行われたのです。問題の根本的な改善のため、若者が犯罪に走らないように更生施設を作ったりもしました。
こうした包括的な活動や新しい取り組みによって、世界でも最低水準だった治安は、驚くべき改善を成し遂げ、犯罪が3分の1に減ったのです。そして今は、雇用を増やすために努力しています。
そういったユニークな取り組みが評価され、近隣のたくさんの国から使節団が来て、エルサルバドルの方法を学んで自国に活かしています。国際的にも治安の改善が認められています。
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