トヨタ人の合言葉「なぜなぜ5回」の威力

社歴40年のトレーナーたちが語る

トヨタ生産方式において重要な「かんばん」。何を・いつ・どこで・どれだけ生産・運搬するかを書いた指示カードのことですが、聞いたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その導入支援のために、彼が仕入れ先に派遣されたときのこと。ある日彼は、かんばんが1枚なくなっていることに気付きました。色々と探したものの見つからず、諦めて上司に報告に行くとこのように言われました。

「見つからないのは、見つけるまで探さないからだ」

白旗を上げるのが悔しくなった彼が深夜まで探し回ったところ、部品箱の底に張り付いているかんばんを発見。当時は部品箱の上にかんばんを乗せるのが常識でしたが、上の箱の底にかんばんが張り付いてしまったのです。

そこで彼は、部品箱の横にホルダを作成し、そこにかんばんを差すしくみに変えました。そうすることで、かんばんの紛失がなくなると同時に、箱が重なってもかんばんの内容が一目で見えるようになりました。もし彼が途中であきらめてしまっていたとしたらこのような改善は生まれず、かんばんの導入自体も大幅に遅れていたはずです。 

このように、日々の仕事の様々な場面で、上司は部下に対して「諦めない」大切さを説いているのです。

怒るのではなく、「なぜなぜ5回」

失敗したら怒る――当たり前のことのようですが、トヨタではこれも厳禁です。トヨタの上司は部下が失敗をしても「なにをやっているんだ!」と怒ることはなかったと、トレーナーは口をそろえて言います。

トヨタの上司は、失敗したのは部下個人ではなく、しくみが悪かったからであると考えています。ですから、問題の真因を見つけて改善し、再発防止をすることに全精力を注ぎます。個人の責任追及をするのではなく、将来にわたって価値を生む真因追究に注力するのです。

このスタートとなるのがトヨタでは有名な「なぜなぜ5回」。これ以上掘り下げることができないというところまで、諦めずに「なぜ」を繰り返していきます。

3回で見つかることもあれば、10回必要になることも。森戸はいいます。

「『なぜ』という言い方に、詰問されていると感じる方もいるようです。『なぜ、そんなバカなことをしたんだ』というように。実際に海外では1回目の『Why』で険悪になり、2回目の『Why』でケンカが始まるという冗談もあるほどです。でも、トヨタの人がなぜを繰り返すのは問いつめたいからではありません。その真意がきちんと伝わるよう、『何が起こった?』というニュアンスで話すようにするといいでしょう」

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