トヨタ人の合言葉「なぜなぜ5回」の威力 社歴40年のトレーナーたちが語る

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トレーナーの高木新治は、トヨタ時代に「振り返りシート」という名の失敗記録をつけることが義務付けられていたといいます。

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「半期に一度、自分の仕事を振り返り、失敗したことを1枚の紙に記録するのです。品質会議の内容と同じように、『どんな失敗が発生し、何が原因で、どんな対策をとったのか』という内容を書きます。

日々の業務に追われていると、過去の失敗やミスを振り返る余裕はありません。しかし、半期に一度の『振り返りシート月間』があることで、いやでも過去の失敗を思い出し、改めて気が引き締まる思いになったものです」

忙しい毎日の中でも、しくみがあることで強制的に失敗を振り返ることができるのです。

挑戦したときの失敗は、その後の財産になる

さらに高木が組長を務めていた頃には、このような体験もありました。3交代制のラインで3つの組が同じ作業をしており、次の組に向けた引き継ぎ用の申し送り帳がありました。そこには、普通は上手くいったことを書くものですが、高木は部下に難しいチャレンジを多くさせ、その中での失敗や今後の課題を書くようにと言ったのです。

「チャレンジした末の失敗は、メンバーの技能をアップさせ、大切な財産になります。メンバーも失敗を成長の記録としてとらえ、積極的に取り組んでくれました。

当初は人材育成を目的に始めたこの取組みですが、失敗したプロセスを記録・共有することは、他の組のメンバーにとっても学びになり、失敗を防ぐヒントになったようです」

このように失敗を振り返ることは、個人の成長のステップになるだけでなく、それを記録・共有することで部署全体のレベルアップにもつながるのです。

 

10/8(土)に筆者のセミナーが行われます。トヨタメソッド、仕事の効率化に興味のある方は、ご参加ください。


 

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