昔は仕事帰りに一杯、という「飲みニケーション」の文化があったので、部下や上司と飲みに行く、あるいは食事に行くことも珍しいことではありませんでした。誘われたら当たり前のように出かけたし、誘うほうも躊躇せず誘っていました。ところが、今はオンとオフを分けようとする風潮があるので、お互い誘いにくい世の中になってきています。
「話をするのにごはんを食べる必要はない」と思う人もいるかもしれません。職場の人とお互い気を遣ってごはんを食べるより、プライベートで気の合う友達と過ごしたほうが格段ラクなのかもしれません。けれども実は社内の食事こそ、人間関係を良くさせる近道なのです。
上司が部下を食事に誘う際、忘れてはいけないのは、誘う理由に軽く触れておくことです。唐突に誘っても不信感を抱かせてしまいます。「なんだろう、怒られるのかな、行くの嫌だな、億劫だな」と相手を萎縮させてしまう可能性もあります。「最近元気なさそうだけど大丈夫、たまにはおいしいごはんでも食べに行かない?」とか「この間の⚫️⚫️の件、大丈夫?対策を話し合おう」などと言っておくとよいでしょう。そうすると相手にも心の準備が出来るのです。
部下はいつも行く店に行きたくない
日にちが決まったら、場所を予約します。「社内の人間なんだから近場で大丈夫、適当に見つけよう」と思いがちです。ところが、きちんと場所を考えて予約をすると、それだけで誘われたほうは「わざわざ予約をしてくれたんだ」とありがたく思うものなのです。私もその昔、上司に食事に誘われ、あらかじめ指定された日に「ふぐ」をご馳走していただいたことがあります。「ふぐ」をご馳走になることも感激したのですが、上司にきちんと対応してもらえたことが嬉しく感じて、心に残る食事になりました。
場所を選ぶ時には、部下に「いつもどういうお店に行っているの?好きな店を予約しておいてよ」などと言わないでください。相手はいつも行くような店に上司と行きたくないのです。接待で使うような格式のあるお店でなくてもよいですが、少し高級感のある落ち着いたお店がお薦めです。うっかり部下のなじみのお店に行ってしまったら、そこにはほかの社員もいるかもしれません。「あれ、今日はどうしたの」などと言われようものなら、話に集中できずに終わってしまいます。
自分にとっても初めてのお店は、勝手がわからず困ることも多いので、こういうときは特に行かないようにしてくださいね。緊張するような肩肘張るようなお店である必要はありません。居酒屋とかチェーンのお店は大勢ならば楽しいのですが、ふたりでじっくり話したいときには、落ち着いた静かな雰囲気のお店がよいでしょう。
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