シェール大増産で、失業率0%になった町 賃金うなぎ上り、モーテルまで満杯

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ノースダコタ州の統計によると、バッケンの原油生産量は2007年12月には日量3.3万バレル(1バレルは約159リットル)だったが、12年12月には日量70.4万バレルへと20倍以上に急増。全米の生産量全体(12年11月で日量689万バレル)の1割強を占めるまでになっている(グラフ参照)。さらに20年代までには日量160万バレル以上に達すると見込まれる。米国を世界最大の産油国へ駆け上がらせる牽引役と目されているのが、バッケンにほかならない。

そのバッケンの玄関口ともいえる町が、ノースダコタ州ウィリアムズ郡のウィリストン市である。人口2万人足らずの小さな町がここ数年、世界のエネルギー関係者の大きな関心を集めている。

轟音上げる大型トレーラー、道の両側にリグや採油ポンプ

1月下旬、デンバー経由でウィリストン市のスルーラン国際空港へ向かった。ユナイテッド航空の約60人乗り小型ジェット機に乗り込んだ乗客は、ハードなアメリカンといった感じの男ばかりで、いかにも油田労働者風。女性客は3人しかいない。

昼過ぎに現地へ到着。外気はひんやり冷たいものの、この日は最高気温が摂氏約ゼロ度と平年より5度くらい高かった。ただ最低気温は零下20度前後まで下がる。

乗客の中の2人組(写真)に声をかけると、デンバーのリバティというフラッキング(水圧破砕)の会社から仕事で来たという。後日ネットで調べると、「リバティ・オイル・フィールド」という水圧破砕の専門会社で、バッケンを専門の営業エリアにしている。同社の創業者は、シェールガス開発を可能にした水圧破砕技術のパイオニアだという。

2人組の1人が、持っていたウィリストンの地元紙を指さし、「ここは町中が油田なんだ」と話す。その地元紙の一面片隅には、「ノースダコタ州の現在のリグの数:190」と書いてあった。リグというのは、原油やガスの井戸を掘るための櫓(やぐら)のような施設。全米で稼働しているリグの約1割が、ここバッケンに集中しているのだ。

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