シェール革命で世界はどう変わるか【下】 中部電力、大阪ガスの輸入戦略を直撃
――【上】はこちら
米国の安価なシェールガスをLNG(液化天然ガス)の形で日本に輸出するプロジェクトが、いよいよ3月にも米国エネルギー省の承認を得られる公算が高まっている。日本を含む自由貿易協定(FTA)未締結国向けの政府承認を待っているプロジェクトは20件以上に上るが、業界関係者の間で承認に最も近いと見られているのが、米国フリーポートLNGデベロプメント社のプロジェクトであり、日本の大阪ガスと中部電力が液化加工契約を結び、年間それぞれ220万トンのLNGを調達することになっている。
実際の輸入開始は2017年からとはいえ、これまで原油価格連動一辺倒だった日本のLNG輸入契約の価格体系に、米国の“天然ガス需給"を反映したまったく新しい価格体系を加えられる意義は大きい。大阪ガスと中部電力のシェールガス輸入のキーマンに、その狙いを聞いた。
大阪ガスはLNG調達コストの長期安定化狙う
大阪ガスの米国法人(ヒューストン)、大阪ガス・リソーシズ・アメリカ社の山本唯史社長は、「これまでLNG調達は原油価格連動でコストの削減余地がなかったが、米国との契約を通じて自らのコストでLNGを導入することに意義がある。そのためのコストの積み上げをシビアに見ている」と話す。
LNGの主な調達コストには、ガスの調達原価、液化コスト、日本までのLNGの輸送コストがある。
コストの積み上げでまず重要な天然ガスの確保については、マーケット(パイプライン)から購入もできるが、LNG輸出プロジェクトは20年間に及ぶ長期プロジェクトであり、将来のガス価格に運命をすべて委ねるのはリスクも大きい。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら