海に目を向ければ、日本は資源大国だ 『オーシャン・メタル』を書いた谷口正次氏に聞く

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21世紀の資源主戦場は「海洋」、それが中国を尖閣諸島に向かわせる……。

──今や銅さえレアメタルになりそうなのですか。

口正次(たにぐち・まさつぐ)
資源・環境ジャーナリスト
1938年生まれ。九州工業大学鉱山工学科卒業。小野田セメント入社、資源事業部長などを経て、秩父小野田専務、太平洋セメント専務、屋久島電工代表取締役。その後、国際連合大学ゼロエミッション・フォーラム産業界代表理事、千葉商科大学客員教授などを歴任。著書に『教養としての資源問題』。

レアメタルの王様はコバルトといわれてきたが、もっと深刻な問題として、銅が決定的に重要なレアメタルの筆頭として挙げられるようになった。

銅は世界で年間1600万トン生産されている。銅鉱石の品位は下がる一方で、最近では0・55%を切るような含有率のもので量産している。一方で価格はこわばり、ロンドン金属取引所における推移で見ても、リーマンショックで一時急落したものの、その後さっと元に戻し、レアメタル問題でパニック状態になったときの水準を超えた。中国の経済減速がいわれる現在も高止まりしている。こうなると、銅でさえ、採掘先がこれからは海だとなってくる。

──銅が海洋資源になる……。

多くの鉱物資源が品位や環境の制約から、新しく大規模開発を始めることが難しくなってきた。それだけ、陸上から海洋に目が向くことになる。今や地球上の資源フロンティアは海といえる。日本が出遅れているうちに、太平洋はもう「草刈り場」のようになり始めている。

海洋資源といっても鉱物やエネルギーだけではない。再生可能な資源も膨大にある。それは洋上風力であり、海流であり、潮力。英国をはじめとして欧州は国家主導で政策を誘導して洋上風力発電に取り組んでいる。それに、海にはもちろん多種多様な生物がいて、この「遺伝子資源」も重要だ。

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