シェール大増産で、失業率0%になった町 賃金うなぎ上り、モーテルまで満杯
採掘技術のブレークスルーによるシェールオイルとシェールガスの増産で活気づく米国。
昨年11月に国際エネルギー機関(IEA)が発表した年次報告書「世界エネルギー展望」によると、米国は2015年までにロシアを抜いて世界最大の天然ガス産出国となり、17年までにはサウジアラビアを抜いて世界最大の産油国になる。15年ごろからは液化天然ガス(LNG)の輸出が始まる予定。またIEAでは、これから米国の原油輸入が減少していく結果、2030年ごろには北米全体で原油の純輸出地域になり、35年までに米国はエネルギー全体の完全自給自足を達成すると予想している。
こうした米国の「エネルギールネサンス」が、世界のエネルギー需給をはじめ、経済の国際競争力、さらには地政学上のパワーバランスに至るまで、革命的な影響をもたらそうとしている。
原油生産量が5年で20倍超、革命最前線は「バッケン」
シェール革命の最前線――それはまず、過去数年で全米を代表する原油産出地域となった「バッケン」である。
バッケンとは、ノースダコタ州を中心に西隣のモンタナ州、北のカナダの一部に広がるシェール(頁岩=けつがん)層をいう。その名は、1951年に初めて発見された場所の地主だった農夫の名前、ヘンリー・バッケンにちなんで付けられたといわれる。
ただ、当時はまだ、シェール層から岩石から原油やガスを取り出すという技術が発達していなかった。採掘が可能になったのは、水圧破砕、水平掘削という技術の革新が進んだ2000年代以降である。
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