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原油輸送は鉄道依存度が急上昇、パイプラインも増強へ

バッケンで生産される原油の品質は非常に高いとされる。米国の代表的な油種で、中東産などよりも軽質低硫黄で知られるWTIに比べてもさらに軽質で、付加価値の高いガソリンなどの白油を精製しやすい。

ただ現状で、バッケン産の原油はWTIよりも幾分安い値段で取引されている。それは、製油所や消費地から遠く、パイプラインもまだ十分に発達していないため、鉄道やタンクローリーによる輸送コストが余分にかかるためだ。

ノースダコタ州パイプライン公社によると、2012年末現在のバッケンにおけるパイプラインによる原油の輸送能力は日量46.3万バレル(前年比12%増)。一方、鉄道による原油輸送能力は67万バレル(同2.44倍)と、鉄道輸送が爆発的に増えている。

日系大手商社の現地幹部も、「米国ではこれまで石炭の貨車リースが中心だったが、最近は原油の貨車リースのビジネスが伸びている」と話していた。バッケンがその最大の需要地ということだろう。

ただ、同公社の計画では、パイプラインの輸送能力は2014年には91.8万バレル、16年には124.3万バレルに増強されるという。バッケンでの今後の増産ペースにもよるが、鉄道依存度は徐々に低下していく見通しだ。

開発の担い手は中堅企業、原油生産量は今後5年で3倍へ

コンチネンタル社の油井近くからウィリストン市方面を臨む

このバッケンにおいて、原油生産量、リグ稼働数で最大手なのが、オクラホマ州に本社を置くコンチネンタル・リソーシズ社だ。バッケンにおける原油生産量でシェア約13%を占める。

コンチネンタル・リソーシズ社は先日、2012年末現在で自社が採掘権を保有する原油・天然ガスの確認埋蔵量が前11年比で54%増の7.85億バレルになったと発表。08年末からは5倍近い増加である。17年には15.24億バレルへと倍増を見込む。また、生産量は12年の3600万バレルから、17年には1億0800万バレルへと5年で3倍にする計画だ。

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