ところが2017年卒では、面接選考解禁を6月に前倒すというガイドラインのマイナーチェンジが施され、5月1日~6月前半の6週間で内定率が25.0%から65.8%へと一気に40ポイントも伸びたのです。かつての「4月の1カ月」よりは緩やかではあるものの、それ以来の集中型に回帰したと言えます。
では、なぜこのような集中型の回帰が見られたのでしょうか。2017年卒の内定出しが集中した5月1日~6月中旬を、2つのフェーズに分けて見てみましょう。
1つは6月1日からの2週間。ここは面接選考解禁直後ですから、この間に積み上がった内定の多くは、この解禁日を待って選考を本格化させた企業が、その後の工程を迅速に進め、内定出しに至ったことによるものと思われます。
もう1つは5月の1カ月間。ここで内定を出した企業は、「選考解禁直前」を狙った企業も含まれますが、多くは、採用広報解禁の3月から順を追って学生とコミュニケーションを重ねる中で、5月に入って内定出しまでたどり着いたケースです。
企業は「選考辞退の悪夢」を避けたかった
2016年卒では広報解禁がちょうど大学生の春休みに当たることから、解禁直後から説明会を始める企業が少なくありませんでした。
ところが面接選考を8月やその直前に設定していた企業の場合、説明会から面接選考までの期間がそれなりにあるため、採用活動プロセスの各工程の間に、少しエアポケットのような時間が生じてしまったのです。そしてそのエアポケットの間に学生がいなくなってしまうという「選考辞退」も多く発生しました。
そんな苦い経験を持つ企業の多くは、2017年卒においては迅速に次の工程を案内する、工程と工程の間にエアポケットが生じそうになれば、メールや電話で個別連絡を入れて学生の状況や不安、疑問がないかを聞くなどのフォローをする、仕事紹介動画などを配信し自社のことを忘れないでいてもらう――などの地道な工夫をしました。
このように、採用活動の各プロセス間での水漏れを防ぐことで、いい人材をしっかり獲得しようとする企業側に引っ張られる形で、学生の就職活動もトントン拍子に進んでいったのです。
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