さまざまな調査機関が実施している2017年卒生の就職内定率調査では、学生の内定率が昨年に比べて軒並み上昇している。就職市場が学生側から見て「売り手市場」であることは間違いない。
ただ、こうした学生の内定率調査だけでは、どのような業界や企業が採用中なのかは分からない。人材関連の調査機関であるHR総研は採用する企業側への調査を実施。そのデータに基づいて、企業側から見た最新の採用状況を見てみよう。
内定辞退で補充が必要な企業は多い
企業側に6月後半時点の採用計画数に対する内定者の割合(内定充足率)を聞いたところ、まだ内定を出していない企業が19%、20%未満が11%、20%~40%未満が11%、40%~60%未満が17%となっている。合計すると内定充足率60%未満の企業が58%という結果だ。採用計画の半数に満たないところが約半分といったところだろうか。
一方、同時期の学生の内定保有者の率(1社でも内定を保有している人)は、HR総研調べでは文系で約80%、理系で88%となっており、企業側の内定充足率を大きく上回っている。しかも複数内定をいまだ保有している学生も多く、しばらくは内定を辞退する学生が後を絶たないと見られる。企業側にとって内定者の不足分は現在の数字より高くなると思われるため、企業は補充を含めた採用をまだまだ続けることになる。
ここ1、2年、企業が学生に内定を出す際に、他社への就職活動を終了するように強要する「オワハラ(就活終われハラスメント)」という言葉が人口に膾炙したが、企業としてもある程度強く学生の入社意志を確認しないと、どんどん内定辞退が増えてくるという危機感の裏返しと言える。
ある企業の人事担当者はこう漏らす。「内定承諾書の提出後、『他社に入社するので、内定辞退です』とのメールのみ。一昨年まで、内定承諾後の辞退はなかったが、昨年より辞退が発生した。とりあえず承諾書を提出するよう指導する学校もあり、学生の志望度を十分に見極めないと採用数が確定できなくなった」。企業側も必死なのである。
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