過去最高の就活「売り手市場」は来年も続く? 業績悪化でも企業が採用を絞らないワケ
過去最高の就職率。この流れはどこまで続くのか。
5月19日、文部科学省と厚生労働省が共同で調査する「大学等卒業者の就職状況調査」が発表された。2016年3月に卒業した大学生(学部)の4月1日時点の就職率(就職者数÷就職希望者数)は、前年比0.6ポイント増の97.3%。昨年に引き続き、1996年の調査開始以降の最高値を記録した。97%を突破したのも初めてのことだ。
さらに、卒業者全体に占める就職者の割合も72.0%と同じく1.7ポイント上昇した。学生にとっての就職環境は、かなり良好な「売り手市場」だったと言える。
リーマンショックを乗り切り、採用は回復
この流れは今年の就職戦線でも続いている。現在、2017年3月卒生の就職活動がヤマ場を迎えている。リクルートワークス研究所が4月21日に発表した大卒求人倍率(求人総数を民間企業就職希望者数で割った値)は、1.74倍と昨年の1.73倍からわずかに上昇し、5年連続の上昇となった。求人総数も前年比で1.5万人増加している。
同研究所の戸田淳仁主任研究員は「昨年とほとんど変わらないが、水準としては高い。引き続き企業の採用意欲はある」と語る。企業の旺盛な採用意欲は続いているようだ。
その背景として、ここ数年、リーマンショックの影響から抜け出し、円安やアベノミクス効果で業績が好転、意欲的な設備投資計画や出店計画を打ち出す企業が増えた。それに合わせて、採用を強化するケースが増えていることが挙げられる。
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