「殻を破る起業家」は同類とはつるまない 日本の革新者100人共通のキラースキル

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──新規公開も増えています。

この3年で面談に出向いた先のうち5社が新規公開している。当方はベンチャーキャピタルではないので、次世代成長銘柄を探しているわけではない。結果論としてアプローチしたモデルを市場も注目し共感したということだろう。さらにあと5社程度は新規公開するのではないか。100の革新者のうち1割。ただ、革新者たちも分かれる。上場してインパクトを大きくしたい人、小さいがゆえに革新的でありうると悟りを開いている人など、それぞれだ。

革新者に共通しているのは、ほかの領域のワザをスピーディに取り込み組み合わせて、従来思いつかなかったようなやり方で事業を進める。「同じ領域でまねするとイミテーション。違う領域でまねするとイノベーション」。

当たり前を疑い、ひとひねりする

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──それが革新者のキラースキルの基本ですか。

同じ領域のほかの経営者、専門家とは違った切り口になる。当たり前を疑い、ひとひねりするため常識的ではないものになる。ただ、常識を無視するのではなく徹底的に理解したうえで、その先に行く。

革新者は誰も打たれ強い一方で、負けたふりをする。革新性は既存の勢力、常識のある人たちに嫌われる。周りから反発、無視、時に妨害を受ける。ちょっとずつ身をかわしたり方向を変えたり、何度でも挑戦する根気よさが必須だ。へこたれたり反省したりしていると、イノベーションは潰れてしまう。

──この本に「同類とはつるまない」ともあります。

ほかの領域にこそ自分の領域を革新するネタがあるからだ。違和感や新しい切り口を求めて、あえてほかの領域の人と交わることを時間割に組み込む。強い問題意識を持っていれば、ヒントは探せる。その点でもネットワーク形成は大事だ。

──それもウォンツを認識したうえで。

厳しい言い方をすれば、ニーズ探しは仮にダメだったとき顧客のせいにする抗弁。それに対しウォンツはこちらが勝手に出していくから、責任もこちらにある。革新者は自分がやりたいから、助けたい人がいるからやっている人がほとんどだ。

──革新者は地方創生で活用されるようですね。

北海道の十勝地域(19市町村)に農業と観光をベースにしたベンチャーのコミュニティ作りを進めている。「フードバレーとかち」と元ベンチャーキャピタリストの帯広市長はキャッチフレーズを付けた。どこまで波及するか。先行きが楽しみだ。

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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