「遊び人ヤンキー」が2020年の日本を救う 藤野英人と木下斉が「ヤンキーの虎」を語る
アベノミクスは「複数のラッキー」が重なった
藤野 2012年末に安倍政権が誕生し、2013年4月にアベノミクスが本格的にスタートしてから、日本経済が盛り返してきました。これには、いくつかのラッキーが重なっていたと思うんです。
アベノミクスが始まってから、為替が円安に向かった。それで輸出企業の収益が上がってきた。円安になった背景には、もちろんアベノミクスもあるけど、僕は東日本大震災の影響が大きいと考えています。
震災が起こり、原発が止まった。原油やLNG(液化天然ガス)をたくさん輸入しなければならなくなった。すると、当時は原油価格が上がっていたことも重なって、経常収支がどんどん悪化していってしまったんですね。
経常収支が悪化すると、半年から1年後に為替が変化してきます。円相場ならば、円安に振れてくるんです。そのタイミングが、「超円高時代」と言われていた野田政権の末期だった。こうして政権交代が起こる3 カ月前あたりから、円安に向かい始めたんです。
あたかも安倍さんが円安への流れをつくったように見えたけど、裏側には経常収支の悪化があったということです。