「遊び人ヤンキー」が2020年の日本を救う 藤野英人と木下斉が「ヤンキーの虎」を語る

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あとは、彼らは予定調和とか関係なく、本質的な質問をするから、扱いにくい存在として距離を置かれてきたところもあります。

例えば、「俺らは銀行から300万円借りて、こういう店をやって、年間1万人の客が来て、黒字でちゃんと税金納める。あなた方は、同じような施設をつくるのに、なぜ3億円もかかり、毎年数千万の赤字を出すの?」と。

こんなこと会議で言われたら、地方のエリートは立つ瀬がないですからね。そりゃ会議に声をかけません。予定調和が必要なしゃんしゃん会議に木下が呼ばれないのと同じです(笑)。

「ヤンキーの虎」と地方公共団体は、コラボできる

結局、地方において低投資でしっかり稼げる市場をつかむ力がある人は、ヤンキーの虎のような人たちです。成り上がり系から二代目三代目、中卒から大学院卒まで、いろんなパターンのヤンキーの虎がいて、もちろん全員が良いわけではないかもしれない。しかし、がっつりと地域の経済を回し、自治体に税金を払い、地域を支えている経営者はこの層から出てるのも事実なんです。

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ここでどうすればいいか。地方創生とかも、地元で役所から金もらうだけの民間にかませるのではなく、彼らに任せる、もしくは彼らの邪魔をしないことが大切ということです。

木下 もう一つ言うと、藤野さんのような方が「ヤンキーの虎」の存在を世に広めることが、すごく大事だと思うんです。

地方の外にいる人、それも藤野さんのように実績を上げている人に「地方経済を盛り上げるためには、こういう人たちを重要視しなきゃいけない」と言われると、「プライドの塊」のようなエリート層も「そうだな」と納得するわけです。

彼らは馬鹿ではないですから、受け止めるだけの理由を持てれば、十分に私はヤンキーの虎とのコラボもできると思っています。マイノリティーではありますが、元ヤンキー層で地方自治体の職員になっている人も結構いますからね。彼らは今までは、ヤンキーの虎と仕事するわけにはなかなかいかなかったのが、実はこういう経済活性化策もあるのかとなれば、実はその繋がりが活きたりすると思います。

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例えば、全く稼げず、補助金で運営されているような公共施設の喫茶室も、実は地元のヤンキーの虎たちが頑張れば魅力的な店舗になって、むしろ役所にお金を納めてくれるようになるかもしれません。

けど、ヤンキーの虎からそんなこと言われたら「何を言ってるんだ、お前」という話になるんですけどね。プライドを傷つけないために、この手の話を「誰が」提言するか、がとっても大事なんです。

藤野 言ってみれば、プライドが担保されればいいわけですよね。理屈はなんでもいい。こうして地方公共団体に味方を増やしていけば、ヤンキーの虎たちは活動しやすくなっていく。日本中に活躍の場が広がっていく。腐った施設も3分の1くらいに減らしていこうという意識も高まっていく。

具体的な解決策を知り、実践しているヤンキーの虎を大いにリスペクトして、どんどん力を貸してもらうべきだと思います。それが地方の再生につながり、ひいては日本の発展につながっていくのです。

(撮影:梅谷秀司)

東洋経済オンライン編集部

ベテランから若手まで個性的な部員がそろう編集部。編集作業が中心だが、もちろん取材もこなします(画像はイメージです)

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