新幹線は地方創生に役立っているのか 利益を大都市に吸い取られるだけ?

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北陸新幹線がついに開業。ホームは「顔」が見えないほどごったがえしたが、新幹線が地方創生の「切り札」になるには、「3つの条件」がある(写真:HIROYUKI OZAWA/アフロ)

前回のコラム「地方を滅ぼす『名ばかりコンサルタント』~パクリの再生計画に自治体の未来はないには、連載開始以降、最高といっても良いほどの反響がありました。頂戴した「いいね!」の数などを見ると、本当に驚いてしまいます。これからも読者の皆さんに、地方創生を考えるうえでヒントになる材料を提供できれば幸いです。

さて、3月14日、北陸新幹線が開業しました。そこで、今回のコラムでは「新幹線と地方創生について」考えて見たいと思います。一言でいえば、「新幹線は本当に地域活性化に役立っているのか」ということです。

新幹線は地方創生の「夢の切り札」ではない

地域での取り組みを考えるとき、その地域が抱えるすべての問題が解消される「地域活性化の起爆剤」がいつも期待されます。新幹線はそうした「夢の切り札」とされてきました。

しかしながら、新幹線は過去の結果を見る限り、「作って地域活性化完成」「作って終わり」ではありません。

かつては、社会資本は地方で手薄だったので、「いかに新幹線を地方にもってくるか」に、皆の注目が集まっていました。作るまでが大切だったのです。しかし作ったからといって、果たして、その地方は活性化したのでしょうか。答えは皆さんもご存知の通りです。

2つの国土交通省の資料をみればわかるように、約半世紀をかけて、新幹線だけでなく、高速道路、地方空港含め、かなりの交通網が整備されてきました。今後の地方活性化には、作ることよりも、むしろ「いかに活用できるか」が求められるのです。

では、地域活性化においては、新幹線開通とともに、何が起きるのでしょか。その結果、どのような対策をとらなくてはならないのでしょうか。さっそく過去の教訓を踏まえながら、皆さんと今一度考えたいと思います。

この14日に石川県の金沢まで開業した北陸新幹線も、「北陸地域活性化の起爆剤」になることが期待されています。

石川県の新幹線開業影響予測調査によれば、新幹線による観光・ビジネスを含めた経済効果は年間約121億円と試算されています。石川県の観光産業の規模は約2600億円ですので、これから観光産業が一定レベル伸び、波及効果もあることが予想されます。

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