「遊び人ヤンキー」が2020年の日本を救う

藤野英人と木下斉が「ヤンキーの虎」を語る

藤野木下さんは、地方の失敗した公共施設を、「墓標」と呼ばれているわけですが、公共施設を建てるとき、実際の価値や収益力を考えると、その10倍くらいの予算を使うんです。 しかし、結局、これはつくる時の利権だから、瞬発的におカネを取ったとしても、その後のことは全部地方におっかぶさってくる。ここを無視しちゃいけないんです。

木下 藤野さんから「墓標」の言葉を聞くことができるとは、ありがたい限りです(笑)。 3年ほど前に私が代表務めるエリア・イノベーション・アライアンスで失敗事例集として「墓標シリーズ」というのを出し始めまして、最近地方で大規模に仕掛けて失敗した事例を「墓標」と呼ぶようになってきました。

そしてそのような「墓標」を製造するためにおカネを使うのは、地方の役所。一方、地方で実際に稼いでいるのは、ヤンキーの虎なんですよね。

でも、残念ながらおカネを使う人の方がリスペクトされるという、歪んだ価値観が未だに変えられない。実際に多額の教育投資を受けた高学歴の人たちが公務員になって、国から200億円の予算を取ったはいいが、建てた後に維持費で500億円必要となるような施設をバンバン建ててしまう。けど、そのほうが中卒で借金して商売やるより尊いとされたりしている。これじゃあ地方は衰退しますよ。

今、地方に必要なのは「稼ぐこと」であって「使うこと」ではありません。特に人口は減るんですから、従来稼がなくてよかった人も稼ぐことと向き合わなくてはならないし、さらに1人あたりの稼ぎを増加させることに知恵を出さなくてはいけないわけです。宿題は明確です。

地方活性化をすればするほど「無間地獄」に

「従来型の地方活性化策をやればやるほど、地方に負債をつくり、地方の衰退が加速し、国税が必要になる。これは無間地獄」

藤野 こんなに当たり前の話なのに、カネを使う人より稼ぐ人がフォーカスされないのは、歪んでいると思いますね。

地方が活性化するためには、豊かになること。稼ぎを増やしていくこと。一人で生み出せる稼ぎをどこまで増やしていけるかということと向き合わないといけない。

木下 ヤンキーの虎たちは、中学卒業して、とか高校を卒業して、働いて、バンバン稼げるビジネスをやっているわけですよ。地元のおカネを金融機関から借りて、付加価値をつけてバンバン回しているわけです。そして、中にはインテリ型ヤンキーの虎もいて、しっかりと大学、大学院まで教育を受けて、けど稼ぐのもうまい人は、既存の制度さえも変化させるようなビジネスを展開したりしています。

かたや、単に従来の路線で、政治家がいう地元への利益誘導型政策を、東大を出たエリートのはずの官僚たちが制度的に実現してしまったりする。しかも、せめてそれが、地方が稼げるような政策ならまだ良いのですが、銀行もカネを貸さないような、成功するのが「無理ゲー」となるプロジェクトに、国がバリバリ予算をつけてしまう。結果、せっかく貴重な国税を使っているのに、地方活性化策をやればやるほどに、地方に負債をつくり、負担が増加し、衰退を加速し、さらに国税が必要になってしまう。無間地獄です。

どこまで行ったって、これじゃあ地方は活性化して自立なんてしません。みんな地方創生って複雑に考えるんですけど、シンプルな話なんです。稼げないことに投資をしているわけです。これは地方だけの問題だけでなく、日本全体をみても稼げない地域が増加するということは、国としても大きな損失です。都市部の人たちは税金を召し上げられて地方の支援だといって分配していたはずの資金が、むしろさらに地方が衰退することになってしまっているということに怒るべきですね。

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