社内失業から立ち直った日立研究者の本音

変化はあらゆる人に等しく降りかかる

日立製作所の矢野和男・中央研究グループ技師長(撮影:今井 康一)

人間行動に関する科学的な新事実を次々と発見

加速度センサーで人間の「ハピネス(幸福感)」が計れる――。

興味深い研究内容を発表し、世界中から注目を集めているのが日立製作所・中央研究グループ技師長の矢野和男氏だ。2006年にリストバンド型のウエアラブル端末を開発し、人間の動きを延べ100万日以上にわたって計測してきた。

矢野氏は「ビッグデータ」という言葉もない頃から研究に着手し、それらを自動で分析する「AI(人工知能)」も開発。センサーが発するデータを分析することで、人間行動に関する科学的な新事実を次々と発見した。2014年に研究成果を自らつづった著書『データの見えざる手』が出版されると、大きな反響を呼んだ。

たとえばコールセンターの事例では、電話オペレーターが名札型のウエアラブル端末を首からぶら下げて、コミュニケーションや各時刻の居場所、名札が揺れるパターンなどを計測した。同世代のチーム4人が同時に休憩時間を取るようにしたところ、会話が活発化したことで活動が10%向上し、業務においても受注率が13%も向上したことを明らかにしている。

週刊東洋経済4月30日・5月7日合併号(4月25日発売)の特集は『理系社員 サバイバル白書』です。画像をクリックすると販売サイトにジャンプします

他の業態や米国の銀行でも同様の結果が得られた。これらを踏まえ、「集団の活発度が上がると社員のハピネスが高くなり、企業の業績・生産性も高まる」と分析している。

ハピネスのほかにも「運」「経済活動」「購買行動」などにおける科学的な法則も解説。ビッグデータを基に自ら学習するAIを開発したことで、あらゆる社会の問題を解決できるようになると提唱している。

週刊東洋経済5月7日発売号(4月25日発売)では、『理系社員サバイバル白書』を特集。シャープや東芝、ソニー、パナソニックなど、技術の趨勢の影響を受けやすいエンジニアたちは、どう新たなキャリアを切り拓くのか。意外な業界への就職事情や、理系部下の能力を引き出す方法などを紹介。さらには理系大学受験の最新事情として、国公立理工系を第1志望にする受験生が併願する私立大学先と合格率なども取り上げている。

次ページゼロからの再スタート
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 新型コロナ、長期戦の混沌
  • 世相をリアルに映し出す 流転タクシー
  • 最新の週刊東洋経済
  • コロナ後を生き抜く
トレンドライブラリーAD
人気の動画
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
ひろゆき感動「難病61歳の人生サイボーグ化計画」
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
優秀なはずの上司の下で部下が育たない根本理由
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
面接や説明会で採用者が嫌う「9つのNG質問」
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
海外マネー流入!外国人に買われた日本企業20社
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
生前贈与がダメになる<br>相続の新常識

相続をめぐる環境が激変しています。年110万円まで非課税だった生前贈与が税制改正により認められなくなる可能性も。本特集では相続の基本から、よくあるトラブルと解消法、最新路線価に基づく相続税額、さらに生前贈与の将来動向まで取り上げました。

東洋経済education×ICT