西松屋、「電機リストラ組」大量採用の"信念" パナ、シャープ、ソニーなどから80人超

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ストレッチパンツの開発者は黒崎敏彦男児アウター商品部長。パナソニックでカーナビやオーディオ製品の開発にかかわっていた

――社長自身も京都大学大学院工学研究科を修了して山陽特殊製鋼の技術者として入社。西松屋創業者の娘婿となった関係で1985年に西松屋に転じました。

当時、小売業界はとにかく売り上げを上げよということで、生産性を上げるというメーカーの発想はなかった。だが、渥美先生の指導では、店舗は工場であり、いかに生産性を上げていくかというのが大事という指導を受けた。

そこでレイアウトを標準化し、店舗の作業をマニュアル化し、物流、商品管理など、いろんなシステム化に取り組んだ。20年ぐらい前から本格的なチェーン展開が始められようになった。

将来は300坪の店舗が主流となるか

――店舗数は北海道・網走から沖縄・石垣島まで約900店を展開する日本屈指のチェーンストアに成長。21年連続増収を続けています。ただ少子化の中、今後も拡大基調を続けていくことは可能ですか。

市場全体は2兆円の規模がある。ベビー・子ども服で1兆円、ベビーカーやおもちゃ、ベビーフードやほかの雑貨で1兆円だ。だが、当社のシェアはまだ全体の約6%しかなく、伸びしろがある。出生数は年間100万人ぐらいでちょっと減り気味ではあるが、日本は世界3位の経済国だ。急速にシュリンクするとは思えない。

大村禎史(おおむら・よしふみ)/1979年京都大学大学院工学研究科修了、山陽特殊製鋼入社。1985年西松屋チェーン入社、取締役。1990年専務、1996年副社長、2000年から現職。61歳

当面は1000店を目標に、将来は商圏人口10万人に1店舗で1300店を出せると考えている。購買頻度が高い商品に絞れば、7万人に1店として1500店を出せる。便利に買い物してもらうためには、お客さんの住んでいるところや仕事をしている場所の近くに出店していかなければならない。

また、商品の幅や対象年齢も小学校6年生まで広げていくつもりだ。そのため、売り場面積も今は200坪が一番効率がいいが、将来的には300坪ぐらいの売り場が必要になる。欠落している商品もまだある。年齢の低いほうから商品をもっと固めていきたい。そうしていけば、結果的に購買頻度が高まったり、客層が広がったり、お客さんの来店頻度も高まったりするはずだ。

(撮影:今井康一)
 

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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