「不確実性」を買う?新春「福袋」のカラクリ 「リスク・プレミアム」を超える魅力とは?

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ビックリマンシールからサブプライムローンまで

最後に、中身が不確実な商品を、ほかにも少しリストアップしてみよう。子供向けのシールやカード類(私自身も小学生時代はビックリマンシールに熱中したものだ)は、購入して開封するまで中身を見ることができない。

宝くじや競馬などのギャンブルも、「当たり」かどうかはふたを開けてみるまでわからない。悪質な手法が問題となりメディアを賑わせたコンプガチャやペニーオークションにも、支払った対価と得られるアイテムの関係に不確実性が存在する。

また、サブプライム問題が引き金となって起こった世界金融危機では、返済可能性に「重大な不確実性」のある債権を束ねて「まとめ売り」している、という意味で福袋的な特徴を強く持った金融商品が、信用リスクを連鎖的に拡大させた。

福袋のカラクリがきちんと理解できるようになると、こういった不確実性を伴う類似の商品・商法の分析も進むだろう。ひょっとすると、金融危機のような大きな経済問題を解き明かすカギが、福袋の中に眠っているのかもしれない……。

  

【初出:2013.1.19「週刊東洋経済(LINE大爆発!)」

 

(担当者通信欄)

最近ではインターネットオークションなどを通して、人気の福袋ならその販売価格以上の値段で取引されるケースもあるようです。好みのものが入っていれば自分で使えばいいし、趣味に合わなければ欲しがる人に売ればいい、そんな風なら、福袋などおそるるにたらず、というところでしょうか。とはいえ、誰だったら着こなせるのかわからない不思議な衣類というものも、現実にはしばしば存在しているようで、たらいまわしの末、最終的に受け取った人が青ざめるようなものとなると、難しそうです。

さて、安田洋祐先生の「インセンティブの作法」連載第5回は2013年2月12日(火)発売の「週刊東洋経済(特集は、シェール革命で日本は激変する)」に掲載です!

【アメフトに潜む不公平 攻撃権を競り落とせ!】

スーパーボウルが2月3日に開催されました。今回はアメリカンフットボールの「延長戦」のルールに内包される「不公平」をなくす方法をご紹介。ケーキカットとオークション、どちらがよいのでしょうか!?

制度設計を鋭く分析、経済学初心者にも理解しやすい丁寧な解説でマーケットデザインに触れられる『学校選択制のデザイン ゲーム理論アプローチ』(安田洋祐編著、NTT出版、2010年)

 

ソロモン王のジレンマや企業が直面する問題への経済学的解決のヒントが提示される『日本の難題をかたづけよう 経済、政治、教育、社会保障、エネルギー』(光文社、2012年)他のパートも豪華な執筆陣。現実問題に挑みながらも知的好奇心を刺激します!

 

 

安田 洋祐 大阪大学大学院経済学研究科教授

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やすだ ようすけ / Yosuke Yasuda

1980年東京都生まれ。2002年東京大学経済学部卒業。最優秀卒業論文に与えられる大内兵衛賞を受賞し、経済学部卒業生総代となる。2007年米プリンストン大学よりPh.D.取得(経済学)。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年4月から現職。専門は戦略的な状況を分析するゲーム理論。主な研究テーマは、現実の市場や制度を設計するマーケットデザイン。【Webサイト】【ブログ「ECONO斬り!!」】【Twitter(@yagena)

 

 

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