子どもに「お金の話」をするなら手紙が一番だ 米国で広がるマネーレターの意義

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「マネーレター」を書いて家族に渡すことの意義とは?(写真: Jared Soares/The New York Times)

高校卒業のお祝いに何が欲しいか、ジョー・オリバーが姪に尋ねると、彼女は「ギフトカードで2000~3000ドル欲しい」と答えた。オリバーは代わりに手紙を送った。

姪っ子を溺愛するオリバーが送った手紙には、彼女がやるべきことのリストが書かれていた。まず、お金の管理についての本を2冊送ったので、それを読んで、それぞれ1ページずつレポートを書くこと。その後で、会計学の講座を受講し、テストに合格すること。それが終わった段階で、オリバーは姪の名前で預金口座を開き、お金をいくらか入れると伝えた。

「マネーレター」とは何か

私は先月の記事で、「マネーレター」を書いて、家族に渡すことの意義について述べた。マネーレターとは、親や親戚が自ら苦労して学んだお金についての知恵を、子どもに伝える手紙だ。私は読者に、自分が書いたり受け取ったりしたマネーレターを、私にも送ってほしいと頼んだ。

送られてきた手紙には、お金との関わり方や、お金にかかわるさまざまな視点が表れていた。以下で、そのうちの5つを紹介する。あなたがマネーレターを書くときの参考にしてもらいたい。

オリバーが手紙を送ることにしたのは、お金について姪っ子に話しても、右の耳から左の耳へ抜けてしまうのではないかと思ったからだ。「いまの子供たちを座らせて話を聞かせようとしても、彼らの集中力が続く時間はブヨ程度でしかなく、すぐにうつろな目つきになる」と、彼は言う。

55歳になるオリバーは、手紙を書いているときは真剣になったと話す。姪は今年、ルイジアナ大学ラフィエット校に進学予定だ。オリバーは、「お金の問題には多くの感情が絡んでいる」と言う。家庭ではお金が足りないことが争いのもとになる。「いつも足りないと言っていて、子どもたちにはその感覚が染み込む」。

そして、長い間そうした状態でいたあとで、ようやく責任をもってお金を管理できる知識を習得する。ずっとお金に感情で向き合ってきたのだとしたら、大学進学のためにいくら借りるか、入学後や卒業後に何にお金を使うかに関して、ときに感情的な意思決定をしてしまうのも当然のことだ。

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