隅田川に臨むタワーマンションの下層階にある蕎麦店に来ている。スカイツリーを中心とする夜景を楽しめる少しバブルな雰囲気のお店だ。
今回登場してくれるのはTV制作会社で20年近く働いてきた経歴を持つ林太一さん(仮名、43歳)。サラサラの髪と眼鏡が良く似合い、スマートな印象の物腰柔らかな男性だ。約束の時間通りに現れ、「とらや」のお菓子を手土産として渡してくれた。
こじらせテレビマンから一変
自分を表現できずに苦しんでいる人の支援をするという志を持つ太一さん。番組制作に奔走する傍ら、通信講座などで心理学を勉強してきた。昨年に長年勤めた会社を辞め、フリーアナウンサーの妻(32歳)のマネジメント業務をやりつつ、ニートなどの就労支援ボランティアに参加している。新たなスタートのための充電と模索の期間なのだろう。
妻の留美子さんと結婚したのは3年前。留美子さんと付き合い始めるまでの社会人生活は仕事依存と「ある意味でモテまくり」の日々だったという。その根源には両親との葛藤があったと太一さんは自己分析する。
「父親は社会的なステイタスを重視する人でした。母方も医者家系です。高校を中退した私は親の期待を裏切ってしまったと思い込んでいました。大検(現・高等学校卒業程度認定試験)で大学に入って卒業しましたが、一流大学にも一流企業にも入ることはできませんでした。お金を稼いで認めてもらうしかない、少なくとも1000万円は稼がないといけない。そう思ってワーカホリック気味に働いてきました。われながらこじらせ男子だったと思います」
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