太一さんと筆者はほぼ初対面であり、様々な思いが詰まった生い立ちを説明するのはもどかしいようだ。自分で記事を書きたそうな勢いで語ってくれる。結婚も経て落ち着いた現在は、自らの体験と知見を誰かのために役立てたいという気持ちが高まっているという。
ただし、留美子さんとの交際開始以前は、人間への好奇心の強さとコミュニケーション能力の高さがあまり良くない結果を生むことがあった。妙齢の女性を翻弄してしまうことだ。
「私はよくしゃべり、よく聞きます。バラエティ番組の制作に長く携わってきたので笑いにも敏感なほうだと思います。姉がいるので、女性たちの中で一人だけ男性という状況でも平気です。人の心に興味があるので、仕事や人間関係で悩んでいる女性の相談にのることも少なくありません。仕事が終わった後、深夜に2人で飲みに行くことは普通でした。でも、下心はほとんどないんです。様々な女性から勘違いされ続けましたけど……」
前夫のDVに苦しんでいた、今の妻と出会う
自己肯定気味に振り返る太一さんだが、酔いに任せて身体的な接触をすることもあったと明かす。それなのに「勘違い」と言われたら女性の立場がない。太一さんも反省している。
「特定の女性とお付き合いするよりも、親に認めてもらうことを重視し過ぎていた気がします。だからいつでも恋愛より仕事を優先していました。33歳の頃から4年間ぐらい、同じ番組を手がけていた5歳上の女性と付き合っていた時期はあります。でも、『付き合っている』とは言わずにあいまいな関係を続けていました。女性からすればいい迷惑ですよね。ひどい男だったな……」
多忙を極めていた当時の太一さんは女性を思いやる余裕もなかったのかもしれない。年上彼女と並行して、気になる後輩もいたらしい。その女性ともきちんと交際するには至らなかった。
同時に、仕事で知り合った他の女性たちとも気軽に飲みに行っていた。落ち着くことを知らない男性だったのだ。留美子さんも飲み友だちの1人に過ぎなかった。
「出会ったころは、前のダンナと別れようとしていました。潔癖症のDV男で家の中を裸足で歩いているだけで叩かれるんだそうです。しまいには浮気をされてしまったと悩んでいました。私は他に好きな女性が2人もいたので、単なる相談相手として一緒に飲んでいたんです。そのうちに彼女は離婚をして、私に3回も告白してくれました」
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