貯金を本当に増やすなら食費節約は二の次だ 小銭にこだわらず、住居費や保険を見直そう
5月中旬に総務省が発表した2015年の家計調査報告(貯蓄・負債編)速報値。2人以上世帯の貯蓄額が平均1805万円と、前年比0.4%増、3年連続で増加した。このうち勤労者世帯も平均1309万円で、前年比1.5%増加した。
しかし、実際にはこの数字ほど貯蓄にゆとりを持っている人は少ない。貯蓄高別の世帯分布をみると、2人以上平均値の1805万円を下回る世帯が68%と約3分の2を占めているからだ。貯蓄のある人の中での中央値は1054万円で、平均値とは大きく乖離している。貯蓄が100万円未満の世帯は11.1%で、貯蓄の少なさを実感している人が多いことをうかがわせる。一部の超富裕層に全体平均が引き上げられているだけだ。
貯蓄が多くても消費は減少傾向
1990年代から、日本人の貯蓄志向は高まりを続けている。2人以上世帯の貯蓄高は、リーマンショック時など一時的に減少はしたものの、1959年の約60倍の水準に達している。一方で年収は1990年代をピークに減少し、いまだ顕著な回復基調にはない。その結果、年収に対する貯蓄の比率は上昇を続け、2015年には293%と、1959年の70%に比べて4倍以上にもなった。
一方で、消費は貯蓄額の増加に反して減少している。2人以上世帯の1カ月の消費支出(2015年)は平均28万7373円で、前年比2.3ポイントマイナスだった。消費の減少は貯蓄が高い世帯でも顕著で、年収約1500万円クラス、3000万円クラスでも4%前後減少した。貯蓄額にかかわらず、消費を削っていることが見て取れる。
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