貯金を本当に増やすなら食費節約は二の次だ 小銭にこだわらず、住居費や保険を見直そう
総務省の家計調査報告(家計収支編、2015年平均)によると、2人以上勤労者世帯の1カ月の食費は平均7万4341円だ。このうち外食は平均1万5440円で、6万円弱は自炊を中心とした飲食に使っていることがわかる。
これを、節約によってどこまで抑えられるだろうか?平均額の6万円を30日で割ると1日あたり2000円、さらに3食で割ると1食あたり666円になる。これは1世帯分だから、2人家族でも家族1人あたりにすると1食あたりの予算は300円ほどだ。単純に考えて、どんなに努力しても、節約できる幅はさほど大きくなさそうだ。
しかもこのところ、食費を巡る状況は厳しくなっている。勤労者世帯の消費支出に占める食費の割合「エンゲル係数」は昨年来急上昇しているのだ。2013年から2014年にかけて22%前後で推移していたが、2015年平均値は23.6%だった。3月には23.9%と、24%目前に迫っている。
これは、円安による輸入コスト、人手不足による人件費の増加により、加工食品などが値上がりしたためとみられている。最近でも、アイスクリーム、塩、コーヒー、カップ麺、冷凍食品が値上がりしたことは記憶に新しい。ガリガリ君でおなじみの赤城乳業がアイスクリーム価格を値上げしたことは、米ニューヨーク・タイムズ紙でも報じられた。日頃の生活で欠かせない食品が値上がりしているため、コツコツと毎日節約にいそしんでも、なかなか結果を出しにくい状況にあるのだ。
では、貯蓄をするなら、どこから削るのが良いのか。それぞれの家計によって、効果が出やすいポイントは異なるが、まずはもっとも金額が大きく、かつ生活に差しさわりのない費目に注目したい。
貯蓄のためにはなにを削ればよいのか?
たとえば住宅ローンは、マイナス金利の導入もあり金利の低下が進んでいる。従前よりも金利の低いローンに借り換えれば、返済期間中に支払う利息を削減できるかもしれない。仮に残債3000万円、年利2.5%、残り借入期間25年で借りている人が、年利1%(固定)に借り換えられれば、毎月の返済額は約2万円削減できる。総支払額でみると、金融機関の諸条件により詳細は異なるが、諸費用を差し引いても400万円以上の負担軽減になるケースもある。
また、生命保険や医療保険の見直しもひとつだ。月に5000円分でもカットできれば、年間6万円、10年で60万円削減できる。食費の節約のように日々の努力を伴わずにできるため、途中で挫折する心配がない。
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