貯金を本当に増やすなら食費節約は二の次だ

小銭にこだわらず、住居費や保険を見直そう

筆者はファイナンシャルプランナーとして家計の見直しの相談を受けているが、節約しようとする人のほとんどがまず手を付けるのが「食費」だ。食事はだれもが1日3回取るため、ほかの費目に比べておカネを使っている実感が強い。また、食材や店の選び方を変えれば一定の金額をカットでき、簡単に効果を出せるため、節約を意識したときにまず取り組みやすいようだ。

さらにいえば、日用品などの買い物や家計全体の管理は家族のうち1人が担っていることが多いが、食費は、昼食などを外で食べる家族にも出費の責任が伴うため、一家をあげて節約に取り組むという体制にできるのも、節約の対象になりやすい一因かもしれない。

しかしながら、食費を削って得られる節約効果は、努力のわりに小さい。食事自体はなくては暮らせず、一定額以下に下げることができないからだ。

お弁当持参でいったいいくら節約できるか?

会社員のAさん(35歳)は、先月から食費節約のために昼食にお弁当を持参している。ゴールデンウィークに散財した分を取り戻そうと、妻が発案した。Aさんの昼食は、たいてい会社近くのコンビニ弁当。ペットボトルのお茶と一緒に買うと、昼食費はいつもおよそ600円前後だった。これを手作りのお弁当に変え、お茶も水筒に入れて持っていくことにしたのだ。自宅で料理をするための食材費などを除けば、単純に計算して1カ月で600円×平日5日×4週=1万2000円の節約になる。

しかし、出社時間が早いAさんに合わせて早朝5時からお弁当を準備するのは妻にとっても楽ではない。Aさん夫婦は共働きで、朝は自分たちに加え子供の支度もして保育園に送りに行くだけでも一苦労だ。前日の夕食の残りを入れるだけなら、調理の手間はさほどかからないものの、忙しい朝の時間帯に弁当箱におかずを詰め、きれいに包んで夫に持たせるのだって手間にはなる。

夜には夕食の支度から片付けに加え、空になった弁当箱を洗って翌朝のお弁当の中身を考えねばならない。フルタイムで働きながら家事育児を両立するAさんの妻にとっては、貴重な時間が削られることでもある。はじめは張り切って数種類のおかずとごはんを詰めていたが、しだいに疲れておかずの種類は日に日に少なくなった。そこでAさんは、今月からはご飯だけを詰めて、おかずは会社近くのコンビニで買うようにするという。

健康面を考えても、種類が限られるコンビニ弁当を食べ続けるよりは、できることなら自宅から栄養バランスを考えたお弁当を持っていくほうが望ましい。ただ、これを毎日続けるにはそれなりの努力が必要だ。しかも、それだけ苦労して得られる節約効果は月に1万2000円。ご飯を持参しておかずを外で買うようにすれば、効果はさらに小さくなってしまう。節約面だけでいえば、このように食費を削ることは、努力に対して報われる金額があまりにも小さい。

次ページでは、どこから削ればいいのか
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