岡島悦子「人気のない仕事にチャンスがある」 30代前半までに一つ実績を

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キャリア迷子という病

私が、今の若者の間で非常にマズいと思っている病気がある。それは「キャリア迷子」という病気だ。「私は何の仕事に向いているのか」を考えすぎている。モーレツサラリーマンの反動で、学者やメディアが「自身の使命」といったことをあおりすぎている弊害ではないかと思う。確かに「何のために働くのか」というのは根源的な問いであり、それなくしてはどこかで「燃え尽き症候群」に陥るだろう。

しかしながら「キャリア迷子」の問題は、迷うことに頭と時間を使いすぎて、仕事にも身が入らず、だからこそ自身の適性もわからず、時間だけが経過していく、ということにある。モラトリアム期間に、努力をしていない不安に苛まれ、目的のないままに資格の勉強に走るというタイプも多い。一番実践の中で実績を出さないといけないときに、迷いの中で勉強をしすぎてしまうのだ。

起業家の中には「天命型」の人も多いかと思う。しかしながら、8割型のビジネスパーソンは、「仕事をしながら自身の適性や志を見つける」という神戸大学金井教授の提唱する「キャリア・ドリフト型」なのではないかと思う。前のめりに思いっきり仕事をすることが、何より自分のキャリアゴールを把握する機会となるのではないだろうか。

いくら二軍でずっと練習していても、試合に出ないかぎり、実績は積めない。試合に出るべきときに出なかったら、若い人がどんどん上がってきてしまって、二度と試合に出られなくなってしまう。今後のサバイバルゲームの中では、“お勉強くん”よりも、ストリートスマートのほうが強い。まずは実践をして、そこで見つけたわからないことをこっそり死ぬほど勉強する、というような人のほうが、うまくいっているケースは多い。

抜擢される人の人脈力』にも書いたように、人脈はスパイラル式に広がるので、実績が出れば出るほどチャンスに恵まれ、いい循環に入っていく。大学のゼミの友達に10年ぶりぐらいに会うと、「なぜ、あいつはこんなにチャンスに恵まれているのだ」と羨む友人がいると思う。そういう人は、実は水面下では水かきでかいている。何もしていないのにうまくいく人はいない。成功し続けている人には、共通点が必ずある。いかに積極的に戦略的に機会を創出し、早めに経験の場を取りにいくか――私はそこに尽きると思う。

新世代のリーダーになる人に求められているのは、自分らしいキャリアゴール設定と、自分に適した努力方法の発見と実践、という「しなやかな、したたかな」キャリア開発なのではないかと思う。

(撮影:今井康一)

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