有吉弘行、毒舌でも嫌われない驚異の処世術 自分を下げ聞き役に徹し、直球で核心へ迫る
この考え方はサラリーマンも同じで、「あらゆる仕事で、全社員から認められよう」という絶対評価ではなく、「この仕事で、この人たちから認められよう」という相対評価を目指すのが得策。それが同僚と戦わないことにつながり、一目置かれるうえに、好かれやすくなるのです。
キーワードは、「暖簾に腕押し」「糠に釘」「豆腐にかすがい」。いずれも手応えがなく、あるのは脱力感のみ。少なくとも、脱力感を漂わせる人は嫌われることはないでしょう。
大御所や苦手な人と話すときの必勝法
有吉さんのコミュニケーションに関する処世術で最も参考になるのは、そのバランス感覚と合理性。これまで有吉さんの毒舌に対して、「毒を吐いたあとに必ず笑うなど、バランスがいい」「毒というより、視聴者の気持ちを合理的に代弁している」などの分析もありましたが、決してそれだけではありません。
バランス感覚と合理性が如実に表れているのは、先輩や後輩との接し方。有吉さんは「先輩からも後輩からも好かれよう」という理想論を追求してストレスをためることはなく、先輩についていくのが基本で、後輩は後回しにしているそうです。さらに、「育てた後輩が辞めるとショックが大きいから、育てるとしても1からではなく、8から育てて10にするだけ」と話しているように、自分と相手がストレスをためない方法に徹しています。
先輩(上司)や後輩(部下)とのコミュニケーションは、芸能人よりもサラリーマンのほうが多いものですが、有吉さんのようなバランス感覚と合理性を持ち合わせている人はごくわずか。社内の人間関係でストレスを抱えて、肝心の業務に支障をきたしているようでは、質の高い仕事に恵まれることはないでしょう。
有吉さんのコミュニケーション方法で、もう1つ特筆すべきは、聞き上手であること。ただ、特別なテクニックがあるというよりは、「聞き役に徹する」というスタンスの取り方が絶妙なのです。
有吉さんは、「大御所や苦手なタイプと話すときは聞き役に徹する」と明言しています。相手が答えやすそうな質問を続けることで、気分よく話させていますし、自分に難しい質問が返ってくることもないなど、実に合理的。ツッコミや毒舌を最小限に留めることで、相手の持ち味を引き出しています。また、自分が詳しくないジャンルの人に対しても、知っていることをわざわざ聞くようなシーンも多く、聞き役に回って前に出すぎることはありません。
サラリーマンも同様に、上司や他部署の人、苦手な人や他業界の人には聞き役に徹するのが得策。有吉さんが「僕は聞くフリがうまいだけ」と話しているように、あなたもある程度は聞くフリができるはずです。余裕がある人は、有吉さんのようにツッコミや毒舌をはさんでみても面白いかもしれません。
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