有吉弘行、毒舌でも嫌われない驚異の処世術

自分を下げ聞き役に徹し、直球で核心へ迫る

この流れをサラリーマンに当てはめると、大切なのは「できる人間だと認めてもらおう」「女性社員からモテよう」という願望を捨てること。多くの人々にアピールするのではなく、一部の層に好かれることでチャンスをつかみ、実績を積み重ねることでやりたい仕事に近づくという形が考えられます。このような流れに乗れたら、結果として「有吉さんのように、仕事の成功だけでなく、多くの人々から好かれていた」という状態も夢ではありません。

嵐や指原に共通するネガティブさ

毒を吐いても受け入れられる、もう1つの理由は、ネガティブさと脱力感。もともと有吉さんは、どん底時代ですら、「頑張ってはい上がろうとは思わなかった」「『オレ、もうダメだな』とへコんでばかりいた」というネガティブな性格の持ち主でした。ブレイク時も無駄遣いはせず、「仕事がなくなったときのために7000万円貯めていた」というエピソードは、およそ芸人のイメージからかけ離れています。

しかし、そんなネガティブさは、2010年代における芸能界のトレンド。かつて不遇の日々を過ごし、「個性がない」「トークがグダグダ」と揶揄されることを自虐的に話していた嵐は、親近感や正直さを武器に、今や国民的グループになりました。一方、AKB48ではヘタレキャラに加えて、異性スキャンダルまで起こした指原莉乃さんが、親近感と正直さを武器に、選抜総選挙で3度の1位を獲得。有吉さんも含め、ネガティブさをベースにした親近感と正直さは、今の時代に求められているものなのです。

有吉さんは著書の中で、「『絶対に面白い』という絶対評価ではなく、『ここでは面白い』という相対評価でいい。だから、できるだけ芸人が多い番組で仕事をしたくない」と語っていました。実際、有吉さんはアイドルや俳優など、芸人以外のタレントが多い番組で強さを発揮していますし、ピン芸人の一大イベント『R-1ぐらんぷり』にも出場していません。

芸人を志す人のほとんどは、「絶対に面白い」と言われたいものですが、有吉さんにそのような承認欲求はなし。芸人同士でバチバチ競い合おうとせず、「芸人以外のタレント相手に、勝てる戦いをしているだけ」という脱力感を漂わせています。一見、ずるいような気もしますが、現実は「芸人以外のタレントから一目置かれるうえに、芸人仲間に敵を作らない」などいいこと尽くし。ちなみに、嵐も指原さんもアイドル同士では戦わず、アイドル以外の出演者が多い番組で、かっこよさやかわいさを際立たせています。

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