失敗を重ねることで、「スタイル」が見つかる 元早稲田大学ラグビー部監督 中竹竜二氏に聞く(下)

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組織が悪い方向に向かってしまっているとき、どう立て直すか。それは新任マネジャーの手腕が問われる難しい局面となる。中竹氏は、最初にきちんと現状把握をすべきと説く。そして、最終的には選手が自主的にそれを行うような組織作りが目標だと言う。

組織が悪い流れになった時には、現状把握をしなくてはいけません。物事は「準備して実行して振り返る」の繰り返しです。

この時に大事なのは、振り返る際にどこから振り返るかということです。たとえば、ハーフタイムのときに、試合そのものを振り返っても仕方がありません。そうではなく「そもそも自分たちは何をしようとしていたのか」、すなわちプランを振り返らなくてはいけません。

うまくいっていないときも、プラン通りいっていたのにプラン外のことが起きているのと、そもそもプラン通りにできていないのかとではまったく別です。

これについても「振り返り方」のトレーニングで対処することができます。

「振り返り方」のトレーニング

試合がうまくいっていないとき、ハーフタイムで選手は指示を求めるかのように監督の目を見ます。そういうときは選手同士は誰も話していません。しかし、ハーフタイムでは選手たち全員が今どうなっているのかを言葉にして、どこがよくてどこがうまくいっていないのか、チームの現状把握をすすめる事が大事なのです。

それも監督が一人でやるのではありません。選手全員が自主的に行うようにしなくてはいけないのです。

現状把握をした後で、ここから修正するとうまくいくというプライオリティをきちんとして、実行する。それでもうまくいかないなら、この振り返りのサイクルを早めるのです。ハーフタイムだけでは悪い流れを変えられなかったら、後半10分経った時にもう一度選手たちが話し合って、あらためて現状把握をして対策を考えればいいのです。

理想はその年の最終戦となる決勝戦のハーフタイムで、監督やコーチが何も言わなくてもうまくいくようなチームを作ることです。選手たち同士が情報共有して対処法を定め、指示がなくてもきちんと実行することが組織作りの目標なのです。

マネジャー就任後も学び続ける姿勢

私が早稲田大学監督として実行したこのようなフォロワーシップというやり方は、企業の研修でも取り上げられるようになってきています。ただ、安易なものではありません。フォロワーシップが浸透するには時間がかかりますし、部下との面談で失敗すると信頼関係を取り戻すのには時間がかかります。

だから、マネジャーになっただけで満足してはいけません。マネジャーになった後こそ、学び続けなくてはいけないのです。

(撮影:梅谷 秀司)

島 大輔 『会社四季報プロ500』編集長

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しま だいすけ / Daisuke Shima

慶応義塾大学大学院政策メディア研究科修士課程修了。総合電機メーカー、生活実用系出版社に勤務後、2006年に東洋経済新報社に入社。書籍編集部、『週刊東洋経済』編集部、会社四季報オンライン編集部を経て2017年10月から『会社四季報』編集部に所属。2021年4月より『会社四季報プロ500』編集長。

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