失敗を重ねることで、「スタイル」が見つかる 元早稲田大学ラグビー部監督 中竹竜二氏に聞く(下)

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素直さが必要なのは選手だけではありません。リーダー自身も、きちんと自分に目を向けて学び続ける必要があります。スタイルだって、一回確立したら終わりではなく常に進化を続けなくてはいけません。10年後にどんなスタイルを身につけていたいのかを考えて、そのヴィジョンに向けて必要な努力をしなくてはいけません。

マネジャーの一番の仕事は「組織のゴールを定めること」。しかし、そのためにすべきマネジメントは、期間、対象、場面などにわけて理解することが必要だという。「漠然とやっていたら漠然とした効果しか出ない」という中竹氏の言葉には、結果を出してきた監督だからこその自信が垣間見える。

マネジメントについて考えるには、その構成要素をちゃんとわける必要があります。マネジャーやリーダーの一番の仕事は「組織のゴールを定めること」です。しかし、そこにはいろいろな階層の仕事があるのです。

そのマネジメントは選手向けなのか、コーチ向けなのか。その期間は、年間なのか、一日なのか、そのゲームの80分間のことなのか。そして、練習、ミーティング、試合と、場面によっても必要なマネジメントは変わってきます。

マネジメントのツールもさまざまです。資料、戦略の知識、声。すべてが武器になるのです。

私の場合は特に戦略や練習トレーニングのマネジメントを向上させる必要性を感じていたため、ラグビーだけではなく、サッカー、アメフト、バスケットボールなどいろいろな競技のノウハウを学びました。

場面に応じた「声」の使い分け

また、「声」の改善にも取り組みました。監督の仕事はほとんどが声を通じてしゃべること。その内容はもちろんですが、声そのものの質を上げなくてはいけないと考えたのです。

試合前のロッカールームでのミーティングで話すときの声、一対一の面談で話すときの声、グラウンドで指示を伝えるときの声、その場面によって目的は違います。そのため、その目的を達成するために最も効率的な声を使い分けることが必要になります。

そこで、専門のボイストレーナーをつけて徹底的に声の改善に取り組んだのです。全体ミーティングでは天井に声をあてて選手に届かせる、一人に向けたときは直接その選手に向ける、鼓舞するときは地面に反響させる、といったように、専門家から半年くらい指導を受けました。これは効果的でしたね。

このように、モノを俯瞰してどのくらいの階層に分かれているのかを考え、その中でそれぞれのマネジメントがどう機能しているのかを把握して足りないところは補完することが大事なのです。

これはビジネスでも同じことです。たとえば物を売るなら、商品は何か、売る人は誰か、売るためのトークはどうするのか、セールス部門のミドルリーダーはどういう人なのか。それぞれについてどのように機能しているのか、課題はないのかなどを把握しなくてはいけません。

漠然とやっていたら漠然とした効果しかでません。階層をわけて考えないと効果がでないのです。

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