失敗を重ねることで、「スタイル」が見つかる 元早稲田大学ラグビー部監督 中竹竜二氏に聞く(下)

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部下の素質をどう見抜くかは、マネジメントにおいても大切な要素だ。大学監督、そしてU20日本代表監督として数百人もの選手を指導してきた中竹氏は、伸びる選手に必要な要素は表面的な礼儀正しさではなく、「自分にちゃんと目を向けているかどうか」だと語る。

選手の育成の方針も、いかにスタイルを持たせるかということでした。筋力を上げるとか、技術を向上させるということ以上に、スタイルを重視していたのです。

スタイルはスキルとはまったく違います。一言で言えば一貫性が持てるか。試合の中のどんな逆境でも力を発揮できるのがスタイルなのです。どんなに高い技術を持っていても、土壇場で選べるプレーは1つだけ。そのときに自分がこれだけは譲れないというスタイルを確立していることが、ギリギリのすばらしいプレーにつながるのです。

「素直」とは自分に目を向けること

中竹 竜二 (なかたけ・りゅうじ)
1973年、福岡県生まれ。早稲田大学人間科学部卒。大学在籍時はラグビー部に所属し、主将も務めた。英国留学を経て三菱総合研究所に入社。06年、早稲田大学ラグビー蹴球部監督就任。07年、08年度全国大学選手権2連覇に導く。10年4月より日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター。12年1月よりU20日本代表コーチも兼務。

結局、その選手が伸びるかどうかは「素直」かどうかで決まります。

誤解されることも多いのですが「素直さ」とは「自分にちゃんと目を向けている」ということです。

若いコーチにも注意することがありますが、コーチは選手にだまされるのです。体育会の選手は基本的に礼儀正しく、何を言っても「ハイッ」「ハイッ」と大きな声で返事をします。指導者にしてみるととても気持ちがいい。

しかし、だからといってこちらの言っていることを理解して返事しているとは限らないのです。下手をしたら、こちらが話し終える前に返事をしていたりする(笑)。

私はどんな態度であっても、自分に目を向けている選手が素直だと考えています。

課題を指摘した時に素直な返事をしている選手でも、結局それを克服するために何もしていなくて、自分の好きな練習しかしていなかったりもします。

逆に「お前、今日の試合のあのパスはどうなの」と指摘したときに「あれは隣の選手がそう声をかけたからですよ」などと口をとがらせて言い訳するようなふてぶてしい態度でも、次の試合になるとそのミスを克服してきている選手もいます。

選手の表面的な態度にだまされない

よく見ていると、それはわかります。表向きの態度は素直ではなくても、自分に対して素直な選手は自分の課題をきちんと理解して、私に指摘されたプレーを隠れてビデオで確認していたりする。

コーチは表面的な態度にだまされてはいけないのです。

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