負の遺産を残してしまったところもあります。
2世代作品の親世代も完全ではない。
そうした作品、『リングにかけろ2』『キン肉マンⅡ世』などの続編は、かつて日本が上り坂にあった時代に活躍したキャラクターと、現代に生きる息子世代が登場します。
親の世代も完全ではない。息子たちに負の遺産を残してしまったところもあります。しかし彼らは息子たちを見守り、時に自ら戦い、若い世代を導くことを「自分たちの義務」と考えている。そんな大人たちの姿を、息子たちもしっかりと目に焼きつけます。
この「世代間の継承」というテーマを特に濃厚に感じさせるのが、福井晴敏さん原作のアニメ『機動戦士ガンダムUC』です。
この作品は1979年に放映された『機動戦士ガンダム』の17年後を舞台とする続編。初作で描かれた、宇宙に暮らす人々と、地球圏を基盤とする既得権益の保持者たちとの争いは、『UC』の時代でも終結していない。いやむしろ現実の歴史がしばしばそうであるように、争いが争いを呼び、戦いの輪廻は、もはや解きようのないほど絡み合っています。
物語は主人公の少年、バナージの目線から描かれます。この作品の大人たちは、自分たちの時代には問題を解決することができなかった人々。しかし自分たちも一生懸命に生き、重荷を背負ってきたことを伝え、バナージもまた大人たちの姿を受け止めます。その経験は彼が壮大な運命を生きるうえで、大きな糧となりました。
今の日本も課題が山積みで、負の遺産も確かにある。しかし考えてみれば、かつて「エコノミックアニマル」などと言われた私たちが、今では「洗練された国」という印象も与えているわけです。
今の日本にもいいものはいっぱいある。スクラップ&ビルドではなく、取捨選択&ビルドで、大切なものを次世代に伝えていこうと考えるのであれば、自然とこれから進むべき道も見えてくるのではないでしょうか。
2世代作品で描かれるキャラクターの姿を見ていると、そのように感じます。
本年もいろいろなことが起こるでしょうが、みなさまにとってよいお年でありますように。あけましておめでとうございます。
撮影:今井康一
【初出:2013.1.12「週刊東洋経済(メイカーズ革命)」】
(担当者通信欄)
親が今の自分の年だった頃、私は既にもの心ついていて、当時の記憶は、はっきりとあります。この年であんな風に子どもを育てていたのか、家計のやりくりをしていたのか。考えるたびに驚きます。ついつい「とにかく新しいことを!変化を!」と思いがちですが、それと同時にこれからも、自分自身が年を重ねるごとに、その年齢の頃の親の姿を思い出して、倣うべきを倣ったり、同じ轍を踏まないようにしたりと、していくのだと思います。
さて、堀田純司先生の「夜明けの自宅警備日誌」の最新の記事は2013年1月15日(火)発売の「週刊東洋経済(特集は、LINE)」で読めます!
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