「自宅警備員」を自称するということ

「引きこもり」となにが違うのでしょうか?

自宅を警備する、職業……?

 

撮影:今井康一

「自宅警備員」という言葉をご存じでしょうか。これはいわゆる「引きこもり」の人を指す言葉。ネット発のスラングです。

私もしばしば「自宅警備作家」などと自称するのですが、それはなにも私自身、かつて高校を中退し、引きこもりを経験した過去を持つためだけではありません。「自宅警備員」という言葉には今ならではの面白さを感じるのです。この用語は、引きこもりの人たちの「自称」。ネット社会の現代でなければ成立しなかった言葉なのです。

もともと「引きこもり」とは、根っこのところでは、彼らを社会問題としてとらえる、行政やメディア発の言葉でした。他者がこれらの人々を指して呼ぶ言葉だったのです。

しかし「自宅警備員」は違います。

私にも経験がありますが、引きこもりの状態とは、そもそも社会的に孤立して存在しているわけであり、自分たちが一つのアイデンティティ集団を構成するのは本来、難しい。

たとえば、かつては社会的にマイノリティとして扱われた「オタク」の人々にしても、各都市のオタク関連ショップや、コスプレや同人誌即売会といったイベントなどリアルに交流する場があり(その最大のものが、年に2回開かれ数十万人の参加者を集めるコミックマーケットです)、アイデンティティ集団を構成することが可能でした。

次ページでは、「引きこもり」の人たちの交流は…?
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