なぜ新聞は「紙」でないと儲からないのか?

ニューヨーク・タイムズの苦境(下)

サイトへのアクセス数をみると、課金前の11年1月は4846万3000人だったが、1年後の12年1月も4794万4000人とほぼ変わらなかった。そこで、これに自信を深めたNYTは、12年4月1日から、ペイウォールをこれまで以上に高くした。無料で読める記事の本数を、それまでの月20本から10本に減らしたのである。

ちなみに、このような課金方法を「メーター制課金」(従量課金方式)と呼ぶ。

「有料購読者との公平さを考えると、無料でアクセスできるのは、トップページやセクションごとのトップページに加えて、月に10本の記事ぐらいがちょうどいいと判断した」と、当時、NYT紙のアイリーン・マーフィー広報担当はコメントした。

購読者は増えても広告収入は増えない

ではなぜ、有料購読者が増えたにもかかわらず、収益は改善されないのだろうか?

まず言えるのが、デジタル版の購読料が4週間で15ドルと、紙よりもはるかに安い点が挙げられる。続いて、デジタル版ではプリント版と比べて、広告収入が圧倒的に落ちるということがある。

右図は、12年第2四半期(4~6月期)のNYT社の売上高である。12年第2四半期の売上高は前年同期比0.6%増の5億1521万ドル。そのうち、販売売上は2億3329 万ドルと前年同期に比べ8.3%伸びているが、広告売上は同6.8%減と下げ止まっていない。

この広告売上は、プリント版とデジタル版の両方を含んでいる。そこで、この表にはないが、広告売上の内訳を見ると、プリント版の売上高は前期比8.0%減と大きく落ち込んでいる。さらに、上昇が期待されたデジタル版の広告売上高までが同4.0%減と落ち込んでいる。つまり、いくら有料購読者が増えて販売増にはなっていても、広告収入が伴っていないのである。

以上をまとめると、NYT紙で起こったのは、プリント版もデジタル版も販売売上が増えたが広告売上は増えない、逆に減ったということだ。

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