売上高の8割を占めていた広告が急落
これまで、広告収入に大きく依存してきたアメリカの新聞社にとって、オンラインシフトは大きな出血を伴ってきた。しかし、すでにその出血の時期は終わっている。とすれば、NYT紙の場合、このあとは、有料購読者数をさらに増やし、それに伴って販売収入、広告収入も増えるというパターンにならないと、ペイウォールは本当の成功とは言えない。
次のグラフは、NYT社のここ数年の売上高の推移である。
広告売上高、販売売上高、その他の売上高の3分類でグラフ化してあるが、総売上高の8割前後を占めていた広告売上高が急降下したことが、いかに経営を追い詰めたかがわかる。
さらに、次のグラフは、NYT社(ニュース部門)の営業利益の推移である。04年度には5億ドル以上の営業利益を誇った優良企業が、08年のリーマンショック後、一気に崩れてしまったのがわかる。その後、11年には売上高を23億ドルまで回復させたが、赤字体質は止まっていない。11年はデジタルコンテンツ有料化をバネに回復軌道に乗るはずだったが、結果は減収減益で最終赤字になっている。
現在、NYT紙の販売売上高の内訳は、プリント版が約85%、デジタル販売が約15%となっている。そこで、一部のアナリストは、「デジタル販売が今後30%にまで上がり、デジタル広告も伸びれば、危機を脱するだろう」と言っている。
しかし、それは本当だろうか? 今回の30名のリストラ発表を見ると、この見方はあまりにも楽観的すぎるように思える。
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